Kindle Unlimitedを30日お試し期間終了後に継続しますか? つい最近始まったKindle Unlimited読み放題サービス、30日間の無料お試し期間が終了し、継続するかキャンセルするかの判断に迫られた人が続出しています。
このサービス、開始当初からネット上で大きな話題となりましたが、その後、試した人たちは最終的に課金開始を目の前にしてどう判断したのでしょう?
意外な背景や進展が見えてきました。
Kindle Unlimited30日お試し期間終了の直前と直後のアンケート調査の途中経過報告です。
目次
2016年8月、Amazonは突然日本でKindle Unlimitedを開始すると発表しました。これは、日本語Kindle本13万冊、外国語Kindle本120万冊から自由に選んで読める読み放題サービスです。
このプログラムに参加するには、必ず30日間の無料お試しからはじめなければなりません。その後継続するには、月額課金980円を支払う必要があります。
この全く目新しいサービス、開始当初は大人気で、人気タイトルも少なからず含まれていたため、ネット上では大騒ぎとなりました。
一度にダウンロードできるのは10冊までという制約があるものの、Amazonも予想外の大変な人気となったからです。取っ替え引っ替えで何十冊と大量にダウンロードする人が出たり、人気タイトルがリストから削除されたり、物議を醸す開始で賛否両論が巻き起こりました。
そこで、電子書籍の窓ではサイト読者の人を対象に、Kindle Unlimitedの当初から無料お試し期間に参加していた人を対象にピンポイントの緊急アンケート調査を行いました。
この結果、わずかな期間に熱心な読者からの反応を得ることができました。
主に3つの質問とそれに対する意見をWeb上のアンケートフォームから回答します。
今回の調査は準備も募集期間も比較的短い期間での途中報告になります。このため、参加していただいた方は比較的少ないポピュレーションからの集計です。ただ、今回のアンケートでは興味深い発見がありました。
・調査の背景
今回のアンケート調査を行ったのは、日本でKindle Unlimitedが開始した直後で、しかも、開始直後から行動をすぐに起こした、Kindle Unlimitedに非常に関心も期待も高いと思われる対象者が中心です。
しかも、この期間中、Kindle Unlimitedとはどういうものかという情報が日本ではほとんど無い中、「読み放題」と「30日間」という期間限定の強いインセンティブが働いたせいか、短期間に大量のダウンロードが行われたようです。
この結果、いくつか当初では予想されていなかった事態が発生しました。
・当初、人気本や高額な技術書が大人気を博したが、その後わずか1週間ほどで、その多くが対象リストから削除された。
日本Amazonは世界14カ国のアマゾンにあるKindleストアでも、最も大手出版社からの参加が多い言語のストアとして開始しました。欧米の5大出版社はKindle Unlimitedに全く参加していないのに対して、日本の大手出版社の約4割は何らかのかたちで参加しています。
そのインセンティブとして、日本Amazonは2016年末までKindle Unlimitedでダウンロードした大手出版社の作品は、通常の読んだページ数に応じてのロイヤルティの支払いを、一冊の本が売れた時と同じ額のロイヤルティを支払う例外規定を設けて参加を促したのです。(アマゾン読み放題、人気本消える 利用者多すぎが原因?)
このため、人気本や高額の技術書などの対象本が人気を博して、大量のダウンロードが短期間の内に発生しました。結果的に日本Amazonがプロモーションように用意した予算をすぐに食い潰すことになり、日本Amazonは、わずか1週間ほどで予算にインパクトの大きいものをKindle Unlimitedのリストから削除しました。
この前後の人気とAmazonの取った行動に対する反動は、Googleトレンドのグラフからも鮮明に見て取ることができます。特に、8月3日直後の1週間程度が爆発的にトレンドが上向いているのか分かります。(クリックして拡大できます。)
・さらに大量のダウンロードを継続した顧客のKindle Unlimitedアカウントを日本Amazonは停止する暴挙に出た。
当初の人気本や技術書のお得感から、大量にダウンロードをする顧客が日本AmazonのKindle Unlimited読み放題サービスに殺到しました。これは、日本Amazonの予想外の展開となり、先ほどのプロモーション予算の流出となったのは先程のとおりです。
日本Amazonは、これを止めるために特に目立った顧客に対してKindle Unlimitedのサービスを停止するという行動にまで発展しました。2週間ほどサービスを停止するとメールで告知し、そのご2週間たってもアカウントは復活しませんでした。(Kindle Unlimitedのサービスを停止された読者からの証言による。)
このような背景を経て、Kindle Unlimitedの開始初日(2016年8月3日)に30日間無料お試し期間に参加した顧客のお試し期間が終了する最後の日、9月2日時点の途中集計結果は以下のとおりでした。
まだ決めていないという人が16%もいて、それ以外は継続とキャンセルは全く同率でした。まだまだ、かなりの人が決めかねていたというのが実際のところでした。
その後1週間ほど経過した2016年9月12日現在の集計結果は以下のとおりです。
Kindle Unlimitedを継続するよりもキャンセルする人の数が急増しています。現在では、キャンセルが大半の56%、継続するが32%まで下落しました。この時点でも12%が決めかねているという状態ですが、このままでは30%を下回る可能性が高くなってきました。
ご覧頂いてお分かりいただけるとおり、約半数の人は月額980円の価値が有るかどうかは、今後のコンテンツ次第で判断すると回答しています。開始当初のごたごたがあったにもかかわらず、引き続き期待感が高いことが見て取れます。
これが日本Amazonの当初の目標とどのように合致するのかは分かりません。継続率が3割程度あれば十分に投資効果のあるプログラムなのかもしれません。一度日本Amazonの担当者の方に聞いてみたいところです。
継続すると回答した人の主な理由の集計は以下のとおりです。
読み放題となっている対象本のリストに対する期待と実際との齟齬に問題があるようです。人気本が数多く削除された日本Amazonの行動が強く影響している部分も少なからずありそうです。
また、次のようなコレントも寄せられました。
これは、本を読む数自体が多くない人からのコメントと考えられます。月額課金をするわけですから、もともと本をあまり読まない人にとっては、当然ながら毎月980円ではペイしないことになります。
これに対して、継続すると回答した人の主な理由は次のようなものでした。
日本語Kindle本13万冊、外国語Kindle本120万冊という他の追随を許さない蔵書リストにはやはり魅力があります。
最新本やランキングに入っている本を読みたいという欲求とは別に、もともと良い本を読みたい、読みたかった本をじっくりと読みたい、読みたくなったとき・気がついた時にすぐに読みたいという根っからの本好きの要望に応えるという点では、ハマっているサービスといえるのかもしれません。
Kindle Unlimitedは本の読み放題サービスです。このような同類のサービスには、Netflix、Hulu、Amazonプライムビデオなどの見放題動画サービスやAmazonミュージックやApple Musicなどの音楽聴き放題サービスも有ります。
しかし、いずれにしても売れ筋の儲け頭のコンテンツを見放題聴き放題に入れるサービスは聞いたことがありません。どれも、ある程度の期間が経過したちょっと昔の名作やコンテンツの一部が対象となっていることが多いのが現状です。
これは、既存の売れ筋商品とのすみ分けや売れ筋商品の販売へ連携するための戦略と同時に進行しいるためです。980円を支払えば、なんでもかんでも、欲しい本が読めるというわけではないのは確かです。
もし、数千円以上もするような技術書や、増刷に増刷を重ねるベストセラーを制限なく読めるサービスを継続的に実現しようと思えば、経済的にもより高額なサービスになるのは事実でしょう。
であれば、デジタルコンテンツとして新しく可能になったサービスは、どこかに落とし所がある用に思えます。根っからの本好きが、いつでもどこでも、財布を気にすることなく読めるサービスが有るのは心強く感じます。
また、図書館がデジタルコンテンツを提供することがほとんど無い今、月額課金で有料でも、リストの種類さえ重なるところが十分に合致していれば、ますます増えつつある物書きの調べものや調査など、可能性は充分あるように感じます。
「キャンセルする」と判断した人の言う通り、自分が読みたいと思う本が見つかるかどうかが重要なのは確かです。ただし、その読みたい本はどの部分を指すのか、それ次第では百数十万冊以上をいつでも、お財布を気にすることなく、どこからでもすぐに読み始められるのは、魅力的であることも見逃せません。
この点については、今後も、機会があれば再度「読み放題」の魅力について読者の意見を拝聴していきたいと考えています。
※あなたは、どちら派ですか?
もし、今からでも自分の意見を主張したいという方は、こちらから教えて下さい。
将来の日本の本の読み方、読書の質がこのKindle Unlimited読み放題で大きく変わる可能性があると思うからです。
よろしくお願いします!
あなたは、この記事を読んでどのような感想をお持ちですか?あなたにとって、Kindle Unlimitedはどんな存在ですか?
ぜひ、あなたの「新しい発見」やこれまでの「もやもやしたお気持」ちを下のコメント欄から当サイトにお知らせください。
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