電子書籍リーダー: 最近、本好きの人が読書を楽しむためのツールとして見かける機会が手得てきました。本の虫が電子書籍を読み始めるときは、多くの人が一度は検討することになる不思議な存在です。あなたは、電子書籍リーダー選びに悩んでいませんか?
私自身、AmazonのKindleストアが始まった当初から何台もの電子書籍リーダーを乗り換えてきました。予想外の体験に戸惑うこともありました。この経験を元に、電子書籍リーダーのあとから後悔しない選択について、5つのステップを使って解説していきます。最近、次々とモデルが追加され、選択に困ってしまうという声をよく聞きます。既に持っているタブレット端末に追加する必要があるのかどうか悩んでいる人もいます。その中には、失敗談も少なくありません。
初めて電子書籍リーダーを検討する人にとっては、スマホやパソコンで読めるのに、安くはない費用を出してまで買う必要があるのかどうか判断に迷います。なにか特別な端末のようで、しかも、賛否両論の商品レビューやネット上の書き込みも見受けられます。
そこで、電子書籍リーダーを選択するときの、明確な判断基準、ステップ・バイ・ステップの方法論が必要だと考えました。加えて、購入した後からも、さらに楽しむ、読書の質を高める方向性があればなお良しです。
ここからは、あとから後悔しない電子書籍リーダーの選び方を一緒に見ていきましょう。
目次
そもそも電子書籍リーダーとは何でしょう。
電子書籍リーダーとは、電子書籍を画面に表示して読むための読書専用端末のことです。電子書籍とは電子化された書籍で電子辞書も含みますので、シャープなどが発売している電子辞書リーダーも電子書籍リーダーと言えなくもありません。
実は、電子書籍の歴史上はある時点までは日本が最大の市場でした。これにはシャープやNECなども参加していました。また、2009年にはガラケー携帯で読む携帯小説の売上高は、既に574億円で、世界最大の電子書籍のマーケットだったのです。(電子書籍で生き残る技術 -紙との差、規格の差を乗り越える-
著者: 川崎堅二、土岐義恵 p. 33)
現在普及しているものはソニーが2004年に日本で発売したものが原型になっています。E-ink社の印刷と同じ技術を使った電子ペーパー画面で表示します。
2006年にはソニーがSony Readerとして北米で発売し、その直後の2007年に対抗するAmazonからKindleが発売されました。ここから、現在ある電子書籍市場が一気に立ち上がりました。
初代Kindle電子書籍リーダーは、発売からわずか5時間半で売り切れ(Kindle sells out in 5.5 hours, engadget)、その後、5ヶ月半の間予約待ちとなる(Amazon’s Kindle Back In Stock, Wired)ほどの人気でした。
これ以外にも、米国の大手書店のBarnes & Nobleが販売する「Nook」や楽天が買収して子会社となったカナダのKobo社の「Kobo」などがあります。
また、2012年にAmazonがKindleストアを日本でオープンする直前には、AppleのiPadやGoogleのAndroidのOSを搭載したNexus端末などがAmazonのKindle端末と同様に読書用の端末だと伝えられ、「黒船襲来」と騒がれた時期がありました。(電子書籍界の黒船「Kindle」とは?(前編) (1/4))
しかし、iPadもAndroidタブレット端末も読書以外のアプリも搭載した汎用目的の端末で、電子書籍リーダーとは違います。この意味では、AmazonのFire※も同じです。これらタブレット端末やスマホと電子書籍リーダーとの詳しい比較については、「徹底比較: 電子書籍を読むには – スマホ、iPad、Android、Kindleの違い」をご覧ください。
ここでは、AmazonのKindle端末について詳しく見ていきます。
※発売当初はKindle Fireと呼ばれていましたが、Amazonプライムビデオが開始したと同時にFireと名前が変更されました。LEDのカラー画面が読書よりも動画配信向きというのが主な理由のようです。この記事では、他のタブレット端末と一緒に議論します。
日本に電子書籍市場が本格的に立ち上がってからしばらく時間が経過しました。読書好きにとって、紙の本よりも割安で手に入る電子書籍は受けいれられつつあるといえるまでになっています。
「電子書籍は誰が読んでるの?–データを見たら意外なことがわかった – (page 2)」では、電子書籍は2割を超える人が楽しんでいるという事実を伝えています。また、「ついにキャズム超え–コミック市場の4分の1は、すでに電子書籍になっていた」ではコミックをきっかけに、本格的な普及期に入ったことを示唆しています。
コミックは、無料や割引のキャンペーンが当たり前のように常時開催されています。最近では、多くのビジネス書も割引価格で販売されるのが当たり前になってきました。
例えば、「東洋経済電子書籍 2015年ビジネス・実用BEST100 : 東洋経済新報社」の上位20位の販売価格を調べたところ、電子書籍が紙の本の20%から50%割引率までになりつつあることがわかりました。
この表では、「20%ポイント還元セール」開催時点の価格で比較しています。直前には「50%ポイント還元セール」開催していましたので、さらに割引だったことになります。
クリス・アンダーソンは「フリー ―<無料>からお金を生みだす新戦略
このように、電子書籍リーダーという読書専用デバイスの可能性はますます高まっています。しかし、電子書籍を読み始めた初心者にとって、電子書籍リーダー選びは重要な問題です。
もちろん、電子書籍を無料アプリを使ってスマホやタブレット端末で読むことはできます。しかし、電子書籍を本格的に読み込んでいきたいと思うようになると、電子書籍リーダーの存在が気になりだします。
Kindleをはじめ、楽天Koboやソニーなども目につきますが、その機能や価格だけに目を奪われているとしたら、大きな失敗につながりかねません。熱狂的なファンが増え続ける一方で、「期待はずれ」や「使いものにならない」で不要の長物になりかねません。
電子書籍リーダーを選択するときのリスクは、次のステップにそって検討することで避けることができます。
この後からは、これらのステップにそって、1つずつ詳しく見ていきます。
電子書籍リーダーを購入した人から、「こんなはずではなかった」「期待はずれだった」という声をよく聞きます。この失敗の理由は、電子書籍リーダーを選ぶときの期待値が、自分が求めていたものと違ったりずれている時に起こります。
そもそも、電子書籍は既に手もとにあるスマホやタブレットで無料のアプリをインストールして読むことができます。では、なぜ、お金を支払ってまで、専用端末をわざわざ買う必要があるのでしょう?
スマホやタブレット端末であれば、画面はLEDの綺麗なカラーなのに対して、電子書籍リーダーの画面は時代遅れとも言える白黒です。しかも、この読書にだけしか使えないこの端末の動きは「もっそり」としていて、まるで亀のようです。
自動車の大量生産に成功したヘンリー・フォードは、顧客の要求に「どんな色でも作りますよ。黒であるかぎりは。」と答えたそうです。Kindleなど、電子書籍リーダー端末のホディが黒しかないのは、まるで、自動車産業が出現した当初のフォードのモデルTのようです。(この記事を書く直前に、Kindleにやっと白のモデルが追加されました。)
それでは、なぜ、電子書籍リーダーをわざわざ選ぶのでしょうか。まずは、そのメリットをリストします。
何もよりも、電子書籍リーダーを選ぶ第一の理由は読みやすいという点です。E-inkと呼ばれる印刷の技術を使った画面(電子ペーパー)は、紙に近くて長時間の読書に向いています。
朝日新聞社デジタル本部の林智彦氏は、「まだ電子書籍で消耗してるの?–電子書籍が嫌われる3つの理由を考えてみた(前編)」の「電子書籍が嫌われる理由その1:読みにくいから(目に悪いから)」で電子書籍リーダーと紙の本の比較を詳しく解説しています。
液晶画面のiPadやNexus端末に比較して、電子ペーパーは液晶画面特有の目の疲れの原因となると言われるブルーライトの発生が少なく、目が疲れにくいということです。さらに、太陽光が当たる場所でも、LEDのように画面が反射することなく、紙と同じように読むことができます。
さらに、文字の置きさや背景色を自由に変えることができます。これは、視力に支障があって本を読むことに苦労する人、特に年配の方には嬉しい点です。また、部屋を暗くしたベッドの中でも画面の明るさを調整して快適に読書できるのもいいですね。
電子ペーパーの画面は、特に文字を中心にした実用書や小説などを読むことに向いているといえます。
電子書籍リーダーには、タブレット端末用にSNSやゲームアプリ、メール機能などはありません。できるのは読書だけです。
ですから、この端末機を手にした時は、本を手にしたのと同じです。なぜなら、読書のスイッチを入れて日常の雑事や嫌なことから離れ、読書三昧に没頭することを可能にしてくれます。
この、「読書しかできない」というのも、人気を博している一つの理由のようです。
電子書籍リーダーは読書の特化しいてるため、読書に必要な機能が満載ですぐに使えるようにチューン・アップされています。
例えば、本を開いている最中にその中で紹介された本をすぐに購入することができます。世界数十カ国語の無料の電子辞書はもちろん、X-RayやWikipediaと連携したコンテンツの深読み機能、書籍内の全文検索、マーカーを引くように書き込みを可能にするハイライトやメモ機能などがあります。
これらの読書アプリ機能に加え、検索や文書の管理機能など専用機ならではの機能があります。これら読書の機能を活用すれば、電子書籍リーダーを使った読書はさらに快適で楽しいものになります。
その詳細は、この後からも詳しく解説していきます。
電子書籍リーダー端末からは、Wifiや3Gの通信とつながっていれば、どこからでも電子書籍を読み始めることができます。Kindleストアなどのオンライン電子書籍ストアから端末にダウンロードしてあれば画面のアイコンをタップするだけです。
購入していない本でも、「ワンクリックで購入してその場で1分以内に読み始められる」というAmazonのモットーがKindleストアとこの電子書籍リーダーの特徴をよく表しています。
Kindleの電子書籍リーダーを購入し、同時にAmazonプライム会員である人は「Kindleオーナーライブラリー」と呼ばれる無料貸し出しサービスを利用することができます。
これは、Kindleオーナーライブラリーの対象となっているライブラリーから、本来は有料であるKindle本を1ヶ月に1冊無料で借りて読むことができるサービスです。そのまま読み続けることもできますし、翌月には借りた本を返却して新しい本を借りることができます。
「Kindleオーナーライブラリー」は、AmazonのFire端末からも借りることができます。詳しくは、「Kindleオーナーライブラリーの可能性を最大限に引き出す方法」をご覧ください。
このように、電子書籍リーダーには『本の虫』が喜んで飛びつきたくなるメリットが満載です。しかし、そのデメリットを良く理解しないで手を出すと、「飛んで火に入る夏の虫」になりかねません。
そこで、電子書籍リーダーの弱点も見ていきましょう。
E-inkの電子ペーパー画面は、スマホやタブレット端末がカラーでキビキビと動くのに対して、白黒で反応が極端に遅く感じます。また、メモリーも4GB程度とスマホやタブレット端末に比較して少なく、ダウンロードした本が増えていくと端末の動作が不安定になることがあります。
再起動するなどで解決できますが、タブレット端末になれた人にはストレスに感じることが少なくありません。
画面の反応が遅いことに加えて、画面のキーボードでエラーが起きやすく正確に入力しづらい点も気になります。また、変換機能もパソコンやスマホなどと比較できないほど貧弱です。
これはAmazonに是非とも大至急に改善して欲しい点です。
電子書籍リーダーに付属したブラウザで本にあるリンクを開く事ができるのですが、機能が限定的です。その画面が白黒で読みづらいばかりか、拡大表示の反応が遅く時間がかるのでさくさくとネットサーフィンというわけにはいきません。
「開いて確認できる」という程度に期待値を調整する必要がありそうです。これは、ブログ記事などの文字中心のページであれば、「記事モード」で表示することで読みやすくできます。
このように、この読書デバイスのメリットとデメリットを切り分けて、メリットを最大限に活かす方法を考えなければいけないのです。
電子書籍リーダーの「メリット」と「デメリット」が理解できました。次は、なぜ、あえてこのデバイスをお金を出して手に入れたいか、その理由を明らかにしていく必要があります。
なぜ、電子書籍リーダーを選ぶのか、そのヒントはAmazonのKindle端末の商品ページに掲載された商品レビューにあります。例えば、最もポピュラーなKindle Paperwhiteの商品ページの下にあるレビューの評価
まず最初に驚くのは、その多さです。日本AmazonでもKindle全体で数千程度ありますが、米国Amazonの商品ページには数万以上もあり、日々、続々と増えつつあります。
2007年に初代が発売されて以降、約10年間かけてKindle端末は第8世代までモデルが更新されてきました。当初日本でも多かった様々な苦情も次々と改善されつつあります。
一般に、商品を購入した後の満足感は、購入以前に購入の理由となった期待感と実際に使用したときの印象の比較できまります。
何を期待して何を得るかですが、それは一体何でしょう?
私は、それは「新しい読書体験」だと考えています。この端末は、それ手にしたことで時間や場所を忘れ、本の世界の中に没頭することを可能にしてくれるからです。
毎日の仕事や雑事に追われ、長いあいだ忘れていた、子供の頃の「読書三昧」をもう一度手に入れることができるのです。
学校に図書室や下校途中に歩きながら本の物語の中にのめり込んでいた、あの「ひととき」をこのデバイスを手にしているときに得られるからだと感じています。
あなたの期待値とは何でしょうか。
あとから後悔しない電子書籍リーダーの選び方の最も重要なポイントは、電子書籍リーダーを使って「どのようなジャンルの本」を「どのような目的」で読書をするのかを明確にすることです。
もちろん、本来の目的は本を読む、読書を楽しむという点に変わりはありません。しかし、私たちが電子書籍リーダーの読書という時には、そこから得るものに、「今までとは違った効果」を求めていることが分かります。
電子書籍リーダーを使った読書を前提にすると、次の3つのタイプの読書を目的とすることができます。
私たちが本を読むとき、そこで展開されるストーリーの中にどっぷりと浸って物語の流れに身を委ねることで著者の想像の世界との遭遇を楽しむことができます。これは、テレビドラマや映画とはまた違った本ならではの世界です。
このとき、私たちは時間を忘れてただ単純に文字を読み進んでいきことに没頭します。ですから、紙の本と同じように見やすい画面で、スマホやタブレットのように充電池の残り時間を気にすることなく、何時間でも何日でも、好きなだけ読み続けることができます。
また、スマホやタブレット端末のようにゲームやメール、それにSNSの通知などに邪魔されることなく読むことだけに集中できます。まさしく、電子書籍リーダーは読書にはうってつけのデバイスです。
さらに、シリーズの途中で一巻を読み終えたのであれば、その場で次の巻をストアから簡単に手に入れて、すぐに読み続けることができます。もちろん、先ほどの東洋経済電子書籍のように、紙の本よりも格段に安い価格体系がますます広がっています。
本を読む目的には、仕事や趣味の延長で調査や知識の収集するために、かき集めてきた大量の本に目を通すことも少なくありません。このとき、純粋に本を楽しむ時と同じように本に没頭します。
しかしこの目的では、読む対象となる範囲全体をカバーして必要な情報や知識を探しだすことになります。このときには、電子書籍リーダーが持っている様々な読書機能や検索機能が強力なアシストをしてくれます。
電子書籍リーダーにも、アプリと同様に電子辞書やWikipediaと連動したX-Rayといった電子書籍用の機能があります。しかしKindleの電子書籍リーダーならではの機能にも注目するべきです。
このデバイスの検索機能では、なんとダウンロードした本のコンテンツ全てを対象にして「クロス検索」ができます。これは、これまでの紙の本の読書では想像もできないほどの違いです。
残念なことに、この機能はあまり知られていないようです。これをうまく使えば、調査や知識の収集を目的とした読書を本質的に変えるほどの効果があります。
この本をまたがったクロス検索は、スマホやタブレット端末、パソコンの読書アプリにはない、電子書籍リーダーならではの機能です。
仕事や趣味の読書は、多くの場合、単に調査をするだけでは終わりません。調べあげた結果を元にして、論文やレポートを書き上げる必要がある場合が少なくありません。
Kindleの無料アプリには、ハイライトやメモ機能があって読書中に選択した箇所をマーカーを引くように4色にハイライトしたり、ハイライトした箇所に文字を追加したりできます。多くの紙の本の読書術でおすすめの書き込みができるのです。(注意:Kindle電子書籍リーダーは白黒なので、このデバイスからは1色のハイライトに限定されます。)
しかも電子書籍リーダーでは、これをMyClippingsと呼ばれるファイルに書き込んで記録しています。これを開けば、いつ、どの本のどの箇所をハイライトしたか、どのようなメモを残したかをテキストとして、アウトプット用の文書で利用することができます。
これをさらに展開して、次のような利用方法を活用できます。
Amazonが提供しているAmazonKindleという読書SNSかつ個人用の読書管理ページを使って、過去のハイライトやメモを一覧表示してテキストとして使うこともできます。
AmazonKindleについては、「読書におすすめのアプリとサービス: 厳選35 – 電子書籍と本の読書を別次元に進化させる方法 – 12、AmazonKindle(読書管理と読書SNSサイト)」をご覧ください。
自分自身の文書ファイルをSend-to-Kindleという機能を使ってAmazonのクラウドサーバーにメール送信すれば、電子書籍リーダーやKindle無料アプリで読むことができます。もちろん、ハイライトやメモを使って高度なレビューや編集作業に使うこともできます。
Send-to-Kindleの詳しい説明は、こちらの「Send-to-Kindleと無料アプリで自分の文書ファイルを読む方法」を参照してください。
「X35のアプリとサービス」で紹介したClippings.ioというサービスを使えば、Kindle本や個人用の文書を電子書籍リーダーと連携させて、Web上で管理したりウェブ上の情報管理サービスであるEvernoteに自動的に追加したりすることもできます。
Clippings.ioとEvernoteについては、「読書におすすめのアプリとサービス: 厳選35 – 電子書籍と本の読書を別次元に進化させる方法 – 13、Clippings.io(Kindleのハイライトとメモを管理)」をご覧ください。
このように、電子書籍リーダーは本や文書のインプットとしての読書だけではなく、そこからレポートやプレゼン、論文などの文書をアウトプットするための強力なツールとして使うこともできます。
前述のように、文章の読書に強みを発揮する電子書籍リーダーですが、この読書専用機には「得意」と「不得意」の分野があります。したがって、何を読むかを明確にして切り分けて使うことで、より効果の高い読書をすることができます。
これにより、電子書籍リーダーの特性であるE-inkによる白黒画面の電子ペーパーのメリットを生かした読書が可能となります。
これらのほとんどは、可変レイアウトと呼ばれるフォーマットで作成されています。このフォーマットは、文字の大きさ変更し1画面に表示される文字の数を増やしたり減らしたりできます。
また、電子辞書やX-RayやWikipediaなどの読書機能をフル活用できるのも特徴です。
電子書籍リーダーの多くは6インチの手のひらに収まる程度の画面のリーダー端末です。この小さな画面に写真集や雑誌のページ全体を表示するのには無理があります。ピンチアウトで拡大表示できるのですが、あまり読書向きとはいえません。
また、フルカラーのグラフや画像が中心の写真集や技術書では本来の情報の大部分が抜け落ちてしまいます。この場合には、より大きなタブレット端末やパソコンで表示する方がおすすめです。
そしてなによりも、可変レイアウトが得意とする様々な読書機能の多くを使うことができません。
ここを期待して電子書籍リーダーを使うと、文字どおり「期待はずれ」となってしまいます。
どの機種を選ぶかは、どのプラットフォームを選ぶかに等しいと言えます。なぜならば、それぞれのオンラインストアは独自のDRMと呼ばれる著作権保護のシステムと付帯するサービスと電子書籍リーダーと連動させているからです。
ですから、例えばKindle端末のどれか1つを選べば、利用できるオンラインストアはKindleストアに限定されます。Kindleの電子書籍リーダーを使って楽天Koboで購入した電子書籍を読むことはできません。
ただし、多くの電子書籍リーダーでは、DRMで保護されていない互換性のあるePubなどの電子書籍フォーマットであれば、個人用文書を読み込んで使うことはできます。Kindleの場合は、mobiなどのファイルに変換して送信することで読むことができます。
また、サービスの継続性にも注意が必要です。これまでにも、少なからずの電子書籍のリーダー端末やオンラインストアがサービス開始後に打ち切りとなった例があります。
クラウドサービスで提供されるオンラインストアの購入可能な冊子数や読書の付帯サービスが一体となって使い勝手のよい読書が可能になります。電子書籍リーダーの端末の機能の比較だけではなく、全体の読書サービスや顧客向けアフターサービスを一体として比較するべきです。
ここからは、世界最大の電子書籍オンラインストアであるKindleストアを展開し、顧客満足度も高いAmazonが提供する電子書籍リーダーの機種に限定して解説していくことにします。
さて、ここまでで電子書籍リーダーの特徴や使う目的、得意や不得意とするタイプの電子書籍が理解できました。ここではじめて、電子書籍リーダーの機種を比較することができます。
この記事の執筆現在、Amazonは4つのKindle端末をラインアップに揃えています。これらKindleの基本的な読書機能はどれも同じです。
使う理由や目的がすでに明確になっていますので、この後に残されたのは機種による違いです。ここでの検討材料は、次の2つの絞られると思います。
これらの観点からKindle電子書籍リーダー端末の特徴を解説すると、私見からは以下のようになります。
Amazonの電子書籍リーダーであるKindle端末のエントリーモデルです。最も安価で提供されているため、フロントライトがありません。このため暗い場所での読書はできません。
また、筐体も4つのモデルの内で最も分厚く191gと重くなっています。画質も167ppi(1インチに167個の画素)と最も荒い画面で、小さな文字の表示やマンガや写真など画像の表示に向いていません。
逆に、この特徴がエントリーレベルの読書向きだということも言えます。例えば、アメリカなどでは小学生向けの授業や課外活動にこのモデルの活用事例が多数報告されています。
日本でサービスが提供されていないのであまり知られていませんが、Amazonが提供するWhispercastと呼ばれる学校や団体向けの電子書籍のサービスを使えば、Kindleストアで学校や団体が購入した電子書籍を生徒や団体に所属する会員が無料で読むことができます。
また、宿題やレポートなどの文章を配信して共有することもできます。全米PTA団体(National PTA Organization)もこの活動に参加し、電子書籍による読書普及活動に取り組んでいます。(National PTA and Amazon Team Up to Support Family Reading)
子供の頃の読書の習慣は一生の宝物になります。ですから、親が子供にKindleを買い与えて読書をしやすい環境を作るケースも多く見られます。
この時に心配なのが、子供が勝手に天井なく本を購入したり、親が望まない分野の本を購入したりすることです。このため、Kindleにはストアで購入できるかどうか、どのような本を購入できるかなどを制限する機能もあります。
日本でも、小学校や児童向けの図書や読書普及の一環として、学校や図書館で同じような取り組みが行う可能性を「あり」としてトライできるかもしれません。
日本でKindleストアが始まった当初から最も多く普及しているモデルです。アメリカで初めて画面にタッチして操作するモデルとしてリリースされ、その後、各国のKindleストアで販売されました。
現在では、電子書籍リーダー端末としては全世界で最も多く普及しています。日本にも多くの熱狂的なファンが存在します。(AmazonのKindle Paperwhite商品ページのレビュー(リンク)を御覧いただけば、その理由がよくわかると思います。)
当初は多くの改善点の要求がレビューを賑わしていました。しかし、その後2回にわたって改善されたモデルがリリースされ、現在は3代目です。フロントライトや操作性が改善され、特に画質も上位モデルと変わらない300ppiまで繊細な表示ができます。
価格も14,280円(AmazonのPrime会員価格は10,280円)で、楽天Koboの普及モデルのkobo glo HD(商品ページへのリンク)の13,824円(税込)と比較しても、とてもうまく設定されています。Amazonプライム会員であれば、割引価格で購入できます。最近は、ボディが白のモデルも追加され、より幅広い層への普及を目指しています。
上位モデルと比較しても、基本的な読書の機能に変わりはなく、コストパフォーマンスが最も高いモデルです。電子書籍リーダーの入門機としておすすめです。
2015年にKindleリーダー端末として追加された上位モデルです。Kindle Paperwhiteに寄せられた要望を幾つか反映しています。
実は、それ以前のモデルにあった画面の左右にあったページ送りボタンが、画面をタッチして操作するKindle Paperwhiteになって無くなっていました。これを画面の左右に配置しました。しかも、感度の調整機能付きで使いやすくなっています。
以外にもフロントライトや画質の向上など、いくつもの改善点が反映されてのリリースです。筐体もより薄く軽くなりました。また、画面の明るさのむらを少なくするために、フロントライトの数がKindle Paperwhiteの4個から6個へと増え、画面の明るさの自動調整機能が追加されました。
Kindle Paperwhiteと比較してわずかの差のようですが、読書の質にこだわる人向けの一品です。旅客機の国際線で言えば、ビジネスクラスといえるかも知れません。
2016年4月に、AmazonのCEOであるジェフ・ベゾス自らがTwitterでリリースを予告して一時大きな騒ぎになりました。話題となった一番大きな理由が、その売りである斬新な形やバッテリーの充電なしで使える期間の長さではなく、35,980円という他からは飛び抜けた価格設定です。
ネット上の多くのレビューでは、「誰が一体買うのか」という議論が巻き起こりました。この辺の議論については、「Kindle Oasisは誰が買うべきか? 愛読家が今すぐ買うべき7つの理由」をご覧ください。
主な違いは、読書機能よりも、片手で持って操作できる他の電子書籍リーダーにはないデザインと操作性です。人間工学を駆使した設計で読書をもっと楽しむ体験を可能にしています。
まず、その軽さです。カバー無しの状態でなんと131g(3Gなしの場合)で、これは薄めの文庫本よりも軽いボディです。その片側には親指を乗せるだけのスペースがあり、中央に配置されたページ送りと戻しの2つのボタンをタッチすることで、片手で楽々と読書できるようになっています。
「待てよ、左利きの人はどうするの?」
安心してください。左手に持つと画面がフリップして上下反転するので、左手の親指でページをめくりながら操作できます。アメリカにいると左利きの人が多いのに驚かされますが、この辺は当然のように考えられています。
またそのデザインに加えて、充電の持ち期間も嬉しい点です。Kindle Oasisには、他の機種では別売のカバーがデザインに組み込まれるかたちで追加されました。この専用の一体型充電池内臓のカバーにより、充電一回あたりの持ち期間が約数ヶ月にまで増えました。
注目すべき点は、このカバーの設計です。片側の手に持つ部分は8.5mmで片手に持ちやすく、画面側は3.4mmとうすくなっていることです。これでボデイの重量を軽減し、この開いたスペースにカバーがカチッと埋まって一体化するボディとなっています。しかも、この内部に充電器が内蔵されているのです。
機能的にはわずかなさですが、より快適に読書ができ、その独創的なデザインとあいまって他とは違うという満足感が得られる点が大きいといえます。
ここには、数千冊の電子書籍を保存し、必要であれば何百万冊というKindleストアの蔵書にアクセスしてすぐに読み始められます。そのデザイン、操作性、快適な読書体験は、まさに持ち歩く書斎です。
さきほどのKindle Voyageがビジネスクラスであるとすれば、Kindle Oasisは読書体験のファーストクラスと目指していると言えるでしょう。
読書から得られる知識や読書自体の満足感に高い価値を感じ、十分な予算を確保できる人におすすめの逸品です。
ここまでの解説を以下の表にまとめましたので、参考にしてください。
いかがでしたでしょうか。
Kindleの電子書籍リーダーを選ぶのは、単に「紙のようで読みやすい」とか、逆に「もさもさして読みづらい」とか言った単純な感想だけでは決められいことが分かりました。
ここで説明した、以下の5つのステップを確認していくことで、自分にあった満足の高い電子書籍リーダーを選ぶことができます。
ここまでで、自分の読書の目的や用途に合致した機種を選ぶことができました。しかし、電子書籍リーダーを選ぶことは、電子書籍の読書の始まりでしかありません。
自分が手にした電子書籍リーダーの可能性をさらに引き出し、電子書籍の読書から得られる「読書体験」と「知識やアウトプット」の効果を最大にするには、この素晴らしい端末の機能や特徴を最大限に活かす方法を知り、使いこなすことです。
そのためには、「Kindleで人生2度目の読書三昧:素晴らしい読書体験が手に入る!」をお読みいただくことをおすすめします。
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