カテゴリー: AI時代の読書術

電子書籍の基礎知識: 今さら聞けない12の疑問

電子書籍の基礎知識

Kindleが日本に進出して本格的に始まった電子書籍。みるみるうちに読書の習慣を変えようとしています。しかし、電子書籍といっても馴染みがないのも事実です。今さら聞けない電子書籍の分からない数々の疑問・・・。この12のFAQがその疑問の全てにお答えします。

最近朝日新聞社は、長らく続いてきた出版不況は終焉したという趣旨の電子書籍を出版しました。(出版不況の終焉 出版6社トップが語る、電子書籍の成長で見えてきたもの (朝日新聞デジタルSELECT) [Kindle版]

これは、インターネットの登場以来、販売部数を継続的に減少させてきた新聞、雑誌、書籍の出版(音楽業界、出版業界、新聞業界で起こる地殻変動)の中で、2012年に本格的に始まった電子書籍だけが2014年には、特にスマホやタブレット端末で前年比51%増と大きく成長している点(2014年、日本国内で配信される電子書籍・電子雑誌は推計72万タイトル)に注目したものです。大手出版社は今、本気で電子書籍に参入しようとしています。

電子書籍と読書の将来

今後将来に渡り、紙に印刷された文字や画像から得る情報はスマホやタブレット端末に取って代わられるのです。これは、私たちの読書の仕方が大きく変わりつつあるということです。スマホやタブレット端末でする読書は電子書籍を使います。

この数年で先進的な知識階級にとって電子書籍は生活の一部になりつつあります。しかし一般読者にはまだ馴染みがありません。今さらながら聞くのも恥ずかしいような気もします。そこで、電子書籍の基礎知識としてここにまとめました。

※注意:具体的な点については、世界最大のオンラインストアであるアマゾンが運営する電子書籍のオンライン書店であるKindleストアを例にとって説明します。

 


 

電子書籍 − 12の疑問とその回答

  1. 電子書籍って何?

    電子書籍とは、スマホ、タブレット端末、Kindleなどの専用リーダー端末で読めるようにデジタルで作られた本のことです。Web上で簡単に購入しすぐに読めることが一番大きな特徴です。

    文字の大きさや画像の大きさを自由に変えられるのも嬉しい機能です。文字の大きさを変えて1ページに表示する文字数を変えられるタイプ(可変レイアウト型)とコミックや雑誌などレイアウトを変えずに1ページの一部を大きく画面に表示するタイプ(固定レイアウト型)の2種類があります。

  2. 電子書籍は紙の本と何が違うの?

    紙の本は、その名の通り紙に文字や画像を紙に印刷して人の目で読めるようにしてあります。これに対して、デジタルで作られた電子書籍はそれを表示する端末の画面と専用アプリが必要です。

    また、紙に印刷して運んだり倉庫にしまっておく必要がないデジタルな存在なので、作るにも手元の端末に配信するにも費用が安くすみます。このため、紙の本より価格が安いのが2番目の利点です。

    紙の本は、再販価格維持制度という独占禁止法の例外に守られているため、定価販売が基本です。電子書籍はこの対象ではないため、自由に価格を設定できます。このため、Kindleなどのオンライン書店では、無料や格安のキャンペーンが常に行われています。

    また、デジタルならではの読書をさらに楽しむさまざまな機能があるのも特徴です。詳しくは、この後の「11. 電子書籍には、どんな便利機能があるの?」をご覧ください。

  3. 電子書籍はどうやって読むの?

    スマホ、タブレット端末、専用リーダー端末、パソコンなど私達が日頃手にするほとんどのデバイスで読めます。キンドルストアなどのオンライン書店で購入した本は、それぞれの端末やパソコンで無料アプリやブラウザを使って読みます。

    スマホとタブレット端末では、まずKindle無料アプリなどの電子書籍を読むためのアプリをインストールします。操作は簡単です。iPhoneやiPadであればApple StoreでKindleと検索します。

    Android携帯やタブレット端末では、PlayストアからKindleと検索します。どちらも「開く」または「インストール」をタップすればすぐにインストール完了です。

    パソコンでは、Kindleストア内からダウンロードできます。このKindle読書アプリをクリックして簡単な手続きを済ませます。もちろん、アプリは無料です。

    ブラウザなどからKindleストアなどのオンライン書店でKindle本を購入すると、自動的に端末にダウンロードが始まります。ダウンロードされた本を開いて読みます。ダウンロードされていない本はライブラリーやクラウドと呼ばれるメニューから、いつでもどの端末からでもダウンロードできます。

    Kindleなどの専用リーダー端末には、あらかじめ電子書籍を読むアプリがインストールされています。この専用リーダー端末からは、Kindleストアを開いて本を購入できます。スマホやタブレット端末同様、購入時に配信先を指定したり、後からもクラウドやライブラリーからダウンロードして読めます。

    これに加えて、パソコンでも無料アプリで読むことができます。技術書、雑誌、コミックなどの画像やレイアウト重視のコンテンツは、Kindle Cloud Readerというブラウザを使った技術でも読むことができます。

    購入した本は、オンライン書店のライブラリーなどと呼ばれる管理画面で管理します。どの端末へも簡単な操作でダウンロードしていつでも読むことができます。

  4. 簡単に買って、すぐに読むことができるの?

    スマホ、タブレット端末、パソコンからKindleストアにアクセスして「One-click」で購入が完了し、指定した端末にすぐにダウンロードが始まります。購入から1分以内に読み始めれらるようにするのがKindleの目標です。

    キンドル端末とAndroidのKindle無料アプリからは、直接Kindleストアにアクセスして購入することができます。iPhoneやiPadからKindle本を購入してすぐに読む方法については、「スマホで読書:無料Kindle本を簡単に思う存分読む方法」をご覧ください。

  5. どの端末で読めるの?どの端末が読みやすい?

    普段私達が使うほとんどの端末でキンドル本を読むことができます。

    • スマホ:iPhone、GalaxyやExperiaなどのAndroid携帯
    • タブレット端末:iPad、iPad mini、Nexus7などのAndroidタブレット端末
    • 専用リーダー端末:Kindle, Kindle Paperwhite, Kindle VoyageなどのKindle端末
    • パソコン/Mac:パソコン用の無料アプリのKindle for PC/Macから
      これに加えて、パソコンやMacのブラウザもアプリのインストール無しでコミックや雑誌などをKindle Cloud Readerで読むことができます。

    それぞれ違った特徴を持っていますので、目的に合わせて使うのがお勧めです。

    • 携帯性:いつでもどこでもすぐに読みたいならスマホがお勧めです。
    • 画面の大きさ:技術書、コミック、雑誌などはレイアウトや画像を鮮明に表示したい場合には、画面が比較的大きくてカラー表示できるタブレット端末がお勧めです。
    • お仕事で本を使う場合:コンテンツのコピペもでき、操作が容易なKindle for PC/Macがお勧めです。
    • 小説やノウハウ本を読む場合:長時間の読書三昧を思う存分楽しみたいのであれば、Kindle端末がお勧めです。特に、読書専用端末として最高級モデルのKindle Voyageは画面が一番鮮明で読書好きにはたまらない逸品です。(Kindleでの快適で楽しい読書体験については、「Kindleで「人生2度目の読書三昧のすすめ」 – 快適読書ライフのはじまり」が詳しい解説をしています。)
  6. 電子書籍には、どうして有料と無料があるの?

    終戦直後に出版業界を守るために再販価格維持制度という独占禁止法の特例ができました。これにより、出版業界は価格競争なしで本を定価で販売することができます。2000年前後に規制緩和も検討されましたが、そのまま現在に至っています。

    これに対して電子書籍は、この例外の対象ではありません。出版社も個人の著者も自由に価格を設定できます。これには、期間を限定して無料や格安に価格を設定するキャンペーンやタイムセールなども含まれ、大手出版社はこれを使って大々的な販促キャンペーンを展開しています。個人の著者も格安や無料キャンペーンを随時行って販売を増やしているケースが増えています。

  7. どうやったら無料や割引の電子書籍が買えるの?

    紙の本と違い、著者や出版社が自由に価格に決められる電子書籍ですが、では、無料や割引となった本のキャンペーン情報などはどう手に入れたら良いのでしょう?電子書籍の窓がこれまでに分析してきたキャンペーンなどの情報をまとめると以下のようになります。

    • アマゾンが行う販促プログラム

      Kindleストア内では、常にアマゾンが行う販促プログラムが実施されています。以下はその例です。

      このような情報は、Kindleストア内に掲載されるとともに、Amazon.co.jpデリバーズと呼ばれる配信サービスに登録すると、毎日最新情報がメールで送られてきます。また、アマゾンのツイッターをフォローして最新情報を受けることもできます。

    • 出版社や著者が独自に行う無料や割引キャンペーン(タイムセール)

      アマゾン以外でも、出版社が独自に無料や割引キャンペーンを随時行っています。それぞれの出版社がホームページや最新ニュース情報の告知からキャンペーン情報を得るしかありません。

    • Kindle本化された青空文庫

      著作権が切れた文学書や著者が著作権を無料開放している多くの青空文庫と無料本は、Kindleストアで「0円」で購入することができます。アマゾンの画面左の「カテゴリーからさがす」ボタンから「Kindle 本&電子書籍リーダー」「Kindleストア Kindle本」で表示されるKindle本トップページでは、様々なおすすめ情報やキャンペーンが掲載されています。

      また、画面上のメニューにある青い小さなメニューリストにある「無料本」をクリックすると、2015年5月現在、4万4000点以上の無料Kindle本が表示されます。多くは洋書ですが、10,000点以上のKindle本があります。右にあるプルダウンメニューで「人気度」「価格」「発売年月日」で並べ替えることができます。

    • 無料Kindle本 Top 100ランキング

      先ほどのKindleストアページを開くと、画面右側に「ベストセラー Kindleストア 本: Top 100」という欄があります。これは、有料と無料の売上と人気のベスト100のランキングを一時間ごとに更新しているものです。(「Kindleストア Top 100」をクリックすると、Kindleストア全体のベスト100のランキング・ページが表示されます。)この中の無料ランキングから人気のある無料Kindle本を選ぶことができます。

    • オーナーライブラリー

      オーナーライブラリーと呼ばれるリストに登録されたKindle本は、1ヶ月に一冊無料で借りることができます。オーナーライブラリーに参加するには、アマゾンのプライム会員になる必要があります。2万冊以上の日本語タイトル、60万冊以上のKindle本リストから選ぶことができます。詳しくは、Kindleオーナーライブラリーの説明ページをご覧ください。

    • 無料配信サービス(電子書籍の窓)

      電子書籍の窓など、無料や格安のKindle本情報を配信するWebサービスがあります。例えば、本の棚の最新無料・バーゲン価格本情報に登録すると、毎日、お勧めの無料又は格安のKindle本情報がサイトとメールで配信されます。

  8. Kindleと楽天Koboは何が違うの?どちらかで買った本は、もう一方のアプリで読めるの?

    Kindleはアマゾンが運営するオンライン書店です。楽天Koboは、楽天がカナダのオンライン書店Koboを買収して電子書籍市場に参入したオンライン書店です。それぞれ、電子書籍のファイルフォーマットも閲覧用のソフトや管理機能も全く違うため、同じ出版社や著者の電子書籍であったとしても、片方で購入した電子書籍をもう一方で読むことはできません。

  9. 電子書籍は読み終わったらどうなるの?

    購入した電子書籍は半永久的に読むことができます。一旦ダウンロードして読み終わった電子書籍は、後からダウンロードして読むことができます。端末から削除しても、いつでももう一度ダウンロードすれば読めます。ただし、紙の本のように古本屋さんに売ることはできません。購入するのは、読む権利で譲渡できないのが基本です。

  10. 絶版や読めなくなることはあるの?

    紙の本では、配布できる数は紙に印刷された部数を超えることはできません。これに対して電子書籍には絶版は無いのが普通です。販売が継続される限り、いつでも購入して読むことができます。

    これまでの特殊なケースを除けば、アマゾンが何らかの理由で販売停止した電子書籍はありません。世界最大のオンラインストアのオンライン書店であるKindleストアが継続する限り、Kindle本を継続して読むことができます。

  11. 電子書籍には、どんな便利機能があるの?

    デジタルの電子書籍には、デジタル時代に則したさまざまな便利機能が満載です。

    例えば、開いている本だけではなく、端末にダウンロードした電子書籍の最初から最後までの全文やクロス検索を瞬時にできるのは圧巻です。紙の本では全く望めない機能です。

    これ以外にも、文中のリンクをその場で開けること、十数カ国の無料電子辞書デジタル処理できる4色のハイライト、メモ、ブックマーク、コンテンツの詳細を説明するX-Rayや多言語学習に便利なWord-wiseといったデジタル特有の機能などで、全く新しい快適な読書体験が始まります

    Kindleの様々な便利機能は、拙著「Kindleで人生2度目の読書三昧:素晴らしい読書体験が手に入る!」で詳しく解説しています。その内容については、こちらで紹介しています。

  12. 増えすぎた電子書籍は、どう管理したらいい?

    快適で楽しい電子書籍の読書ライフに目覚めると、本がドンドンと増えていることに気づきます。無料サンプル、無料や格安のキャンペーン、無料の文学書やコミック、紙の本よりも安いのでためらわず買った本など、遅かれ早かれ蔵書が溢れかえっていることに気づきます。

    電子書籍を管理する方法として、Kindle本を例にとって説明します。Kindle本の蔵書を管理するには、主に3つの方法があります。

    • Kindle無料アプリにあるコレクションを利用する

      スマホ、タブレット端末、キンドル端末、Kindle for PC/Macのいずれでもコレクションが同期されて共通のフォルダのように管理することができます。パソコンのフォルダと違うのは、1つのキンドル本を複数のコレクションに含めることができる点です。

      例えば、多読が趣味であれば、「あとで読む」にいったん入れておき、読み終わった後に「読了」に入れておくというのもひとつの方法です。もちろん、「小説」や「タスク管理」など、目的やジャンルのコレクションにも登録しておけば、時と場合によってコレクションを選択して管理できます。

    • Kindleストア内の「コンテンツと端末の管理」で管理する

      Kindleストアで購入されたKindle本とアップロードしたパーソナルドキュメント、端末で設定した辞書は、全てここで管理できます。

    • 電子書籍管理ソフトのcalibreを利用する

      calibreはオープンソースの電子書籍管理ソフトで、利用は無料です。インド人のKovid Goyalが米国スタンフォード大学に留学中に開発されたソフトを、その後も協力者の応援で継続して開発されてきました。現在では、世界中で数百万人の電子書籍の愛読者が利用しています。

      日本語にもほぼ対応しています。蔵書管理に加えて、電子書籍の制作編集、ePub、mobi、KZWなどのフォーマット変換機能もあります。(電子書籍リーダー機能もありますが、縦表示はできません。)

    海外から日本語Kindle本がどうして買えないか

    これに加えて番外として、「どうして海外から日本語Kindle本が買えないのか」という質問があります。これは海外にお住みの方にとっては大問題です。

    この記事の執筆現在、アマゾンはKindle本を販売する居住国でのみ購入を限定するという方針があります。しかし同時に、アマゾンは世界13カ国(日本アメリカイギリスドイツフランスオランダスペインイタリアブラジルオーストラリアカナダインドメキシコ)でKindleストアを展開するまでに拡大しています。

    リンクをクリックしてお分かり頂けるように、ほとんどの国のKindleストアでは「外国語カテゴリー」があり「日本語カテゴリー」の下には日本語Kindle本専用のサブカテゴリーがずらりと並んでいます。日本のKindleストアと並列して使えば、すぐに読みたい本が見つけられます。日本以外でも日本語タイトルがドンドンと増えています。見つからない場合は、出版社や著者に直接問い合わせてみてください。

    ※注意:ドイツ、スペイン、イタリア、メキシコには、この記事の執筆現在、日本語カテゴリーがありません。アマゾンの商品番号ASINで検索して下さい。ASINは日本アマゾンの書籍ページの「登録情報」欄で確認できます。

    ですから、これらの国にお住まいの方は、現地のアマゾンのアカウントから日本語のKindle本を購入できます。ついつい、日本アマゾンで書籍をさがしてその場で買えないから、「日本語Kindle本は海外からは買えないと勘違いしている」人が多いのです。

    一部の国のサイトからは、書籍名を日本語でも検索できるようになりました。また、書籍のレビューも日本語の書籍は日本語でできます。詳しくは、「海外在住の方が日本語のキンドル本を購入して読書三昧する方法」をご覧ください。

     

    最後に

    以上は、電子書籍をこれから楽しみたいと考えている方向けに、まず最初に疑問に思う点を基礎知識としてまとめたものです。これ以外にもわからない点、より詳しく知りたい点はありますか?

    電子書籍(Kindle本)の使い方や見つけ方、その他知りたいお役立ち情報がありましたら、下のコメント欄に書き込んで下さい。コメント欄はいつも拝見しています。頂いたコメントや質問には、できるだけ早くお答えいたします。

     

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