Last Updated on 2022年3月26日 by 大山賢太郎
紙の本と電子書籍: 紙の本と電子書籍比較 あなたは本は紙の本で読みますか?それとも電子書籍で読みますか?よく紙の本の方がよいと言われます。この記事では、紙の本と電子書籍を比較し、なぜ読書がアウトプットに結びつかないのか、その疑問点の本質を探ります。
目次
紙の本と電子書籍: 紙の本は読みやすいだけ?
多くの読書術の本は、読書は紙の本の方がよいと断定しています。それは、電子書籍は読みづらい、また、紙の本の方が内容をよく理解できるといった点が根拠となっています。
私は「本の棚」という読書サイトを運営しています。これまで少なからず電子書籍よりの内容で、この点について問題提起してきました。そこでは、やはり多くのコメントをいただきましたが、紙の本の方が読みやすい、記憶に残るという点で、電子書籍は副次的な存在という意見が多数を占めています。
「僕らが毎日やっている最強の読み方」で佐藤優氏と池上彰氏は、「電子書籍は2冊目として活用する」とし、本は紙の本で読むべきで、電子書籍は持ち歩くときや出張の時など用の二次的な存在にするべきと言う意見です。
本当にそうでしょうか?
最近、Schooという日本最大級のオンラインスクールの要請で、リモート講義でデジタル読書の効果のお話をする講義をする機会がありました。冒頭でまったく同じ質問を参加した数百人の受講生に質問したところ、約半数の方が電子書籍を多少に関わらず読むようになってきたと言っています。
そこで、講義の最後に、読書や数ある学びが仕事や執筆活動などのアウトプットに結びついているかどうかを聞いたところ、ほとんどの方が問題を抱えていることがわかりました。
その理由としては、以下のようなものが挙げられました。
- 読書や学びの内容が記憶に定着しない、忘れてしまう
- 読書ノートやメモに効率的に残す時間がない
- 読書や学びから得た知識を整理できない。
- アウトプット用に整理し、必要な時にすぐに取り出す仕組みがない
- 日常の仕事や行動に活用することができない
- 独自のアイデアを練り、武器となる方法が確立されていない
つまり、読書や学びから得た知識が行動やアウトプットに結びついていないのです。しかも、それは読書は私たちの知的活動の中心的存在であるにもかかわらずです。
紙の本と電子書籍: 読書がアウトプットに役立たない・・・
これまで、数々の読書術や整理法の本が出版されてきました。斎藤孝氏は三色ボールペンなどでアンダーラインをひいたり余白にコメントを書き込むようにすすめています。あるいは、 奥野宣之氏は「読書は一冊のノートにまとめなさい」といっています。
また「知的生産の技術」では、梅棹忠夫氏は「読書カード」を一冊の本について二十枚から三十枚作成するといっています。しかし、未だこのような方法で読書をしている人に出会ったことはありません。
毎日の洪水のように押し寄せる情報、仕事の要求、雑多なタスクをこなすのに精一杯の中、とても自分の時間や集中力をそのような追加の作業にさく余裕は残されていないというのが大きな理由です。
すでに整理法で何百万部という読者層を持ちすでに古典ともいえる「超」整理法では、野口悠紀雄氏は読書に関して多くを語っていません。しかも「本と写真の整理は、ほぼ絶望的」とまでいっています。ちなみに、その後の「超」AI整理法では、「写真の検索システムを確立した」と変更していますが、本についてはアップデートはないようです。
ちなみに、「超」整理法で野口氏は次のように語っています。
整理に関する本をいくら読んでも、 満足のいく解決法は見当たらない。多分、誰もが諦めてしまったのだろう。電子的な保存、再生が容易にできるようになるまでは、適切な方法は存在しないに違いない。(「超」整理法 中公新書 1993年、84頁。太字は筆者による)
私は電子書籍(以下、デジタル本とします)を中心とした読書サイトを長年運営するかたわら、紙の本やデジタル本の読書術を少なからず読んできました。しかし、満足のいくデジタル本の読書術や整理術に未だかつて出会ったことがありません。
本田直之氏は「レバレッジ・リーディング」で「読書とは投資活動そのもの」と語っています。知的生産に関わり、少なからずの向上心のある人であれば、人生の内の長期間にわたって数十万円から数百万円という資金を読書やあらゆる学びに使ってきています。
それが、読書であれ、あるいはセミナー、学習コース、学校や資格であれ、資金、時間、集中力という資本投下に対して十分かつ満足のいく効果(投資収益率、ROI)が得られているか考えてみるべきではないでしょうか。
今、読書と知的アウトプットに一番必要なもの
2020年はコロナ禍で右往左往した1年でした。リモートワークやオンライン学習など、デジタル化が一気に進んでいます。
読書や学びというインプットはデジタルで洪水のように襲いかかってきます。そして求められるアウトプットも、それがSNS、ブログ記事などの文章、本の執筆、企画書、研究開発、あるいはイノベーションを生み出すアイデアであれ、デジタルが当たり前になっています。
ニワトコの杖を手に入れる方法
2020年代が禍(わざわい)で始まりました。このあとからは、一気にAIをはじめとするイノベーションの嵐を生き抜いていくことになります。レイ・カーツワイルは、「シンギュラリティは近い」としましたが、同時に、AIは「人間の知能を拡張する」ともいっています。また、マクルーハンは「メディア論―人間の拡張の諸相」で「メディアはメッセージである」といったのも本質的に同じことを指しています。
デジタルなインプットとアウトプットの中間にあって、私たちの知的活動の基板となってサポートする、アイデアとクリエイティビティを産み出すエンジンのような存在となるものが必要となっています。
野口氏は「超」AI整理法で、それは外部脳のようなものになるといっています。しかしそこからは具体像は見えてきません。
それは、私たちの好奇心を刺激しながら記憶を助け、必要な知識を取捨選択し、ゆっくりと時間をかけて熟成させ、必要な時にいつでも取り出し、新しい気づきや発見へと導いてくれるものであるはずです。
それを手に入れられたら、どれほど素晴らしいでしょう。インプットがアウトプットと同期して、現在進行中のプロジェクトと同時進行していく・・・。そして新しい視点やイノベーションの素材となるアイデアが次々と生まれてくるに違いありません。
それは一体どんなものか?
例えていうならば、それはコロナの禍(わざわい)を抜けだし、その後に巻き起こるAIの嵐を生き抜く鍵となるための、ハリー・ポッターが最後に手に入れたニワトコの魔法の杖のようなものかもしれません。
私自身、偶然にもそうであるに違いない分霊箱にコロナ禍の中で出会いました。
このあとから、その探求の旅路に出発したいと思います。この記事をお読みのみなさんとご一緒できましたら幸いです。
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この後からも、よろしくお願いいたします。
※ 現在、読書と知識管理に関する本を執筆中です。一言がとても助かります。ぜひ、下のコメント欄から、みなさんの感想をお寄せください。
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