Last Updated on 2022年3月26日 by 大山賢太郎
音声配信: 音声メディアで稼ぐ時代がきた!コンテンツ配信のブルーオーシャン(未開の金鉱)とは?声のブログがネット収益とつながりを作る方法を)の徹底読書レビューがお届けします。
目次
音声配信の教科書: 音声配信の教科書 声のブログを始めよう
綾瀬友希(エージェントゆき)
コンテンツ配信のブルーオーシャン(未開の金鉱)登場!
日本で今、音声配信と呼ばれる全く新しいメディアに有力コンテンツクリエーターが続々と参入して、コアなリスナー顧客層が急増中です。
声とバックグラウンドミュージックだけという古くてシンプルなメディアですが、人の感覚にダイレクトにリーチする、今、全く新しいメディアとして登場しました。
これは、これまでのYouTubeやTwitter、facebook、InstagramといったSNSとも全く違うものです。まだ小さなマーケットでありながら、今後の成長が見込まれています。
どのメディアも先行者利得というものがありました。未成熟期に参入して第一人者となった存在感が後々まで幅を利かすことがありましたが、今回もそのようなことが起こるのでしょうか。
この全く新しい「音声メディア」という存在とは一体何か?全くゼロから始めて、わずか一年あまりで第一人者となった「エージェントゆき」さんがKindleからその裏側から成功の秘訣までを公開しました。
さっそく、その真相にせまっていきましょう。
「音声配信の教科書」 概要
コロナ禍で大変な騒ぎとなっていた中、ウェブ上では急速な変化が起きつつあります。ここ一年ほどで、クリエーターにとって、全く新しいブルーオーシャンなコンテンツ配信と収益化のプラットフォームが登場しました。
それは、ブログやYouTubeのようなコンテンツ配信とSNSではあるけれども、より簡単に始められる音声のための専用インフラです。「書く」のではなく自分自身の「話す」コンテンツが発信となり、収益化へと結びつくというものです。
現在、Kindleストアで「音声配信の教科書 声のブログを始めよう」がカテゴリ・ベストセラーを爆進中です。
これまでWEBのブログやYouTube、Twitter、facebookなどで思うほど結果が出なかったという方にも、ハードルの低いメディアで収益にもつながりやすいプラットフォームの登場です。
一体どのようなものか。早速、その中身を見ていきましょう。
音声配信の教科書: この本のメッセージとは?
音声配信とは、発信者にとって「心のサード・プレイス、第三の居場所」となるものであり、リスナーと本音でつながれる場所だといいます。
これまでの炎上するような冷たいメディアではなく、「ほどよい距離感で人のぬくもりを感じることができる、そんな空間」であり、自分を応援してくれるコアなファン層が集まってくる場所」「飾らずに素の自分でいられる」そんな「優しくて近くて深い場所」が音声配信です。
いっときの喧騒を過ぎていま、静かに新しいSNSのメディアが登場しようとしています。トレンドに敏感で新しい仲間たちとつながっていく必要があるクリエーターやフリーランサーには見逃せない動きが始まっています。
エージェントゆき(綾瀬友希): 筆者について
エージェントゆき Voicyパーソナリティ。著者: 音声配信の教科書 本職:同時通訳
綾瀬友希(エージェントゆき)神奈川県生まれ。北海道大学を卒業後、デンマーク、オーストリアのウィーンに留学。 European University for Peace Studies修士号。日本学術振興会特別研究員を経てフリーランス通訳者に。会議通訳者として、日本語、英語、ドイツ語の通訳をなりわいとする。企業のウェビナー司会や、動画・映像コンテンツの翻訳・字幕制作・吹き替えも行う。日本ソムリエ協会ワインエキスパートでワイン通訳の第一人者。
2020年コロナ禍の中でstand.fmで始めた音声配信から、わずか数ヶ月後に数十人に一人という審査を通らなければ配信者とはなれないVoicyのパーソナリティに選ばれています。現在は、Voicyを主な配信プラットフォームとして、Twitter、note、facebookでも配信中。
誰がこの本を読むべきか(ターゲット層)
- 自分とつながるコアなファン層を求めるクリエーター、作家、著者、ウェブライター
- より多くの濃い関係でつながりを広げたいフリーランサーや自由業
- 本業とは別の深いつながりを開発したい企業人や組織人
- 自分の才能やスキルを同じ関心を共有できる人とつながり、現在の収益源を増やしたい人
- 書くよりも話す方が気楽で好きな関心や意識を共有したい人
なぜ、この本を読むべきか、そのメリット、その理由は?
- これまでになかった音声コンテンツの配信とマネタイズのプラットフォームとは何かを具体的な事例から学び、その可能性を理解する
- 数々あるプラットフォームから自分に最適な一つを選択する条件とは
- 文字コンテンツや動画コンテンツに加え、音声コンテンツの具体的な形と作成方法、ツールの選び方を知る
- 音声コンテンツをどのように収益化していくか、その方法と進め方
「音声配信の教科書」: 本書の重要な構成
エージェントゆきさんは、音声配信を始めた理由に以下のような点をあげています。
- ブルーオーシャンで、(自分のように)ゼロからはじめた人でも認めてもらいやすい
- ブログやYouTubeよりもかんたん!
- 素の自分に共感する人がまわりに集まって、とても居心地のよいスペースができる
音声配信の中でも、特に、自分自身を表現できる場や機会が欲しかったといっています。子供のころに冷戦の終わりで世の中が驚くほどに変わっていくニュースを、子供ながらに見ていて、そこで活躍する同時通訳に憧れたそうです。
そういった理由で、大学を卒業してからデンマークへ奨学金で留学して帰国します。そして就活することなく、同時通訳の道へと進みます。最初は日本人の教師に向いていない、やめるように仕向けられますが、別の学校の外国人の教師には素晴らしいと褒められたことで、自信を取り戻して同時通訳への道のりを邁進します。
今では、世界各国の政府高官や大企業のイベントや国際会議でのコミュニケーションにとって重要な役割を果たすまでになりました。そんな、声のエキスパートであるエージェントゆきさんは、自分自身のブログやnoteの発信を始めますが、途中で挫折してしまいます。
そんな時、声のブログであるVoicyの魅力に取り憑かれます。彼女にとっては、自分自身を表現する方法は、声だと気がついたのです。ところが、Voicyは限られた招待されたパーソナリティしか発信者には選ばれません。そこで早速、誰でもが参加できるstand.fmで、2020年5月、自分自身のチャンネルを始めたのでした。
エージェントゆきさんの配信はとてもユニークです。自分の仕事を愛し楽しむ毎日、自分自身のこれまでの経験を面白おかしく表現できる内容で聞いていて飽きません。声の配信が根っから好きで、人との繋がりが自然とできる、そんなパーソナリティが運を呼び込みます。
stand.fmで音声配信を始めてからわずか4ヶ月、別のClubhouseというライブ音声配信のスタンドでVoice応募のキャンペーンに申し込み、Voicyの社長に見出されます。なんと、芸能人や有名ブロガー、有力ジャーナリストなどに混じって、憧れだったVoicyのパーソナリティに選ばれたのです。
本書は、彼女が音声配信を始めたきっかけから、人気配信者として活躍し、Voicyのパーソナリティにまで駆け上がっていったプロセスとその背後のワクワクするストーリーが展開されていきます。もちろん、音声配信メディアの全体像や選択方法、音声配信の作り方、ツールや編集、さらには収益化の具体的な中身も語られています。
1. 音声配信のメリット
エージェントゆきさんにとって音声配信の場は、職場でも生活でもない、第三の大切な場所を見つけたといいます。彼女はこれを「心のサード・プレイス」と表現しています。
なぜならば、家や会社にいながらも、また別の世界とつながっている楽しさ 本音でつながれる場所であって、いつも誰かがいるクラスルームのような場所だからだといいます。
また「何かやってみたい!と言うと応援してくれる」、まるで自分のチームの本拠地のようで、ほどよい距離感で人のぬくもりを感じることができる、そんな空間なのです。
さらには、自分の仕事にも相乗効果が現れます。これまでつながることのなかったお仕事の方とも、不思議な感覚でつながるようになっていったのです。
エージェントゆきさんは、音声配信のメリットについて、特に次のようにいっています。
- ブログやYouTubeよりもかんたん!
(マイクに向かって声だけで、すぐにコンテンツ配信できる) -
飾らずにそのままの自分でいられる
(素のままの自分がよい) -
ファン・コミュニティができて、挑戦がしやすくなる
(コツコツと続けることで、コアなファン層がフォローしてくれる)
これは、声という非常にパーソナルなものが持つ特別な感覚と、エージェントゆきさんの「個性」や「人がら」そして「ぬくもり」があってのことなのだと納得がいくのです。
2. かんたん!音声配信の始め方
簡単に始められるとはいうものの、やはり事前準備は必要です。エージェントゆきさんの説明に聞き入りましょう。
まず最初に、プラットフォーム選びで一番大事なのは相性だと彼女はいいます。まずは、リスナーとして、そのアプリを利用して気に入ったパーソナリティを探してみることをすすめています。そして、「波長があうな」という感覚があったらそれが自分にあったプラットフォームです。
そんな、代表的なアプリは次のとおりです。
音声配信のタイプ
音声配信アプリには、大きく二つのタイプがあります。
- 独自配信系の音声配信プラットフォーム(stand.fm、Voicy、SPOONなど)
プラットフォーム内が一つの社会のようになっていて、見つけてもらいやすい -
ポッドキャスト
(Podcast、Spotify、Radiotalk)
複数のプラットフォームに同時にマルチ配信が可能ですが、他の配信に埋もれてしまう傾向があります。
これに加え、次のような音声SNSもあります。
- Clubhouse
2021年1月から非常に注目されて急速に広まった、ライブ配信とソーシャルを特徴としたプラットフォームです。「世界中の人が気軽に話し合える場所を提供する」のがコンセプト。 -
TwitterのSpaces(スペース)など
Twitterのトップ画面やフィード、スマホアプリからの通知などで目に飛び込んでくる、Twitterと連携したもの。これまでは非同期でつながっていたTwitterのフォロワーさん、フォローしている方と直接話をすることができるツールです。
こういった中で、エージェントゆきさんが参加してファン層を拡大していったのがstand.fmです。これから始めたいという人には、これが彼女のおすすめです。
音声配信をおすすめする理由
エージェントゆきさんがstand.fmを推す理由は、次のようなものです。
- アプリをダウンロードしてスマホからすぐに始められる
- コミュニティ要素が強く、フォロワーさんが近い
- 配信者が大人で治安が良い傾向がある
- Podcastに比べて規模が小さいため、認知してもらいやすい
- TwitterやInstagramとの相性がよく、広げやすい
- ユーザー自身が配信者と同時にリスナー。配信者に対して思いやりが持てる
- ライブ機能がある。二人以上でのコラボライブもできる
- 収益化のチャンスが平等にある
特に、新しくチャンネルを始るのであれば、ライブ配信がおすすめといいます。
彼女がライブ配信でファン層を増やしていった理由は次のとおりです。
– 「ちょっとのぞいていこうか」と聴きにきてもらえる。新しいリスナーさんに出会える
– 収録とは違う、リラックスしたつながりができる
– 参加者に聞きたいこと、話したいテーマを聞きながら進められる
– ライブで企画・イベントをリスナーと一緒に進められる
PodcastとSpotify
PodcastとSpotifyのおすすめポイント
– 有名なニュースチャンネルやアーティストと並んで、自分もチャンネルを発信できる
– アレクサなどのスマートスピーカーに対応
– Anchorというプラットフォームから一括で同時に予約配信できる
Voicy
これは厳選されたパーソナリティによる声のブログが聴ける音声メディアです。パーソナリティは、5%と言われる通過率を経て選ばれた強者です。エージェントゆきさんは、ここに果敢にチャレンジして見事に合格!今は、音声配信の次のステージで躍進中です。
3. こだわりたい!マイクや編集ソフト、音源の取り込み
音声配信は、ブログやYouTubeよりも簡単に始められるのが特徴でした。そうはいっても、コンテンツのクオリティは絶対条件です。せっかくのすばらしい内容であっても、音声が聞き取りづらかったり、雑音が入っていたらしらけてしまいます。
音声コンテンツは「音」のみで勝負しなければいけません。ですから、音の質はできるかぎる高く設定する必要があります。しかも、これにはある程度の機材で十分に可能です。
・音声配信にあったマイク
まずは、音声配信にあったクオリティのマイクが必要です。ほとんどの音声配信プラットフォームでは、スマホのアプリから直接収録することができます。しかしこれでは、音がクリアでない、バックグラウンドの雑音やノイズが入ってしまうなどの欠点があります。
楽曲のエキスパートが使うような高価な機材は必要ありませんが、多くの音声配信パーソナリティは、一定レベル以上の音声収録用マイクを使っています。しかも、これはとてもリーゾナブルなコストで可能です。詳しくは本書の(第3章)「こだわりたい!マイクや編集ソフト、音源の取り込み」を確認してください。
・音声編集ソフト
編集ソフトは無料でもOKです。以下のような編集が無料ソフトで問題なくできます。
- 録音
- 音の切り取り、コピー&ペースト
- BGMなどの重ね合わせ
- ノイズ低減
- ノーマライズ(大きすぎる音を小さく、など全体を平準化)
- フェードアウト・フェードイン
- スピードやピッチの変更、など
「ザー」といったノイズ、大き過ぎたり小さすぎる音声の平準化、イントロやバックグラウンドでのBGM、エンディングでのフェードアウトなど、セミプロ級の編集が簡単な操作で可能です。
こういったいくつかの低価格の機材とスキルを駆使することで、Voicyで配信されているようなクオリティの音声配信を誰でもができるようになります。
4. 音声配信のトレンドと可能性
さて、前章までは音声配信の基礎編としての情報でした。この章からは、本格的に音声配信の現状と可能性について切り込んでいきます。
・人気の秘密
まず最初に、なぜ今、音声配信が注目されているかです。エージェントゆきさんは、ライブ配信でユーザーの目(耳?)から見た人気の理由を聞いています。すると、「Air PodsなどのBluetoothワイヤレスイヤホンが普及した」ことにより、「スマホから音声配信を長時間聴くようになった」というたくさんの声があったといいます。
また、家庭ではSpotifyなどでスマートスピーカーから音楽やAudio Bookや音声配信を聴くようになってきているともいいます。そうはいってもこれは未だ、アーリーアダプター(新しいテクノロジーの初期導入者)的な存在かもしれません。しかし今後、このような聞き方も増えていくことになるのでしょう。
これに加えて、エージェントゆきさんは私たちのコロナ禍での行動の変化をあげています。コロナ禍によって、これまでは娯楽のツールだった動画が仕事にまで入り込んできました。
一日中オンラインで会議や研修となり、パソコンの前で目も頭も疲れています。そんな時、耳に心地よい声が音楽とともに聴こえたきたら、「あ、これいいな」となります。
彼女はこれを「目は飽和していても、耳はまだ空いています。そこにちょうど音声配信がフィットした」と表現しています。
・「つくられたもの」に敏感になっている
ブログにしてもYouTubeにしても、それを見た読者や視聴者が「あれ?これはお金のためにやっているのかな」ということが増えています。私たちは、無意識のうちにそういった瞬間に敏感になってきています。
音声には、大げさに飾る余地がほとんどありません。インパクトのある映像やテロップなども出せません。声だけが勝負だからこそ、本当の気持ちが鏡のように映し出されるのです。
だからこそ、動画よりも情報が少ないはずなのに、音声の方が気持ちが伝わるのです。自分の気持ちにウソのないメディアだとエージェントゆきさんはいいます。ですから、リスナーは、自分が好きと決めた配信者の放送を安心して聴くことができるのです。
これが、「つくりもの、の入る余地が少ない音声配信に、つくられたものに疲れた人々が流れてくる構図」です。
・音声配信市場の動向
これまで、音声配信といえば海外のPodcastなどを指していて、日本ではまだまだという印象がありました。アメリカの調査によれば、毎年2桁成長していて、多い年は前年比40%増という年もあります。これが日本でも始まろうとしているのです。
市場規模という点では、デジタル音声広告市場が参考になります。WEBを調べてみると、デジタルインファクトの調査によれば、日本のデジタル音声市場は2020年に前年比なんと229%成長し、16億円規模へ。そして2022年以降急速な 市場拡大が進み、2025年には420億円規模(なんと26倍!)になると見込まれています。日本でも、 音声配信をするものにとって非常に大きな可能性が期待できます。
このデジタル音声広告とは、インターネットラジオや音声配信サービスの配信の合間に提供される広告のことです。通常は15秒から60秒程度の長さですが、動画広告よりもスキップされにくく、最後まで広告を聞いてくれる人の割合がなんと90%以上と異常に高いのが特徴です。 このため、広告主にとっても非常に魅力的な市場だと捉えられています。
例えば、Voicyでは企業広告が付いているチャンネルが続々と登場しています。音声配信プラットフォームにとっても、広告主にとっても、非常に魅力的な市場がこの後大きく成長しようとしているのです。彼らは、魅力的なコンテンツを配信できる音声パーソナリティーを探しているのです。
・コロナ禍の中でもデジタル音声広告が急成長している理由
コロナ禍で広告市場が急速にしぼむ中、デジタル音声広告は急成長を続けています。これには音声ならではの特徴があると言われています。
文字で書かれた文章の記事を読む形のブログや、作り込まれたYouTubeの動画配信などと比較して、音声広告はパーソナリティー(配信者)が自分の番組内で自分で読み上げる形を取るため、高い効果率で好まれているというデータがあります。
これは、パーソナリティーとリスナーの間に強い親近感や好感度によって結ばれているため、 ブログや動画等の広告よりも邪魔に感じず、むしろ興味を引くと言う調査結果があります。音声広告は「広告」というよりも、好きなパーソナリティーのお気に入りのものという感覚がリスナー側にあるようです。
音声を配信する側にとっても非常に活用する価値の高い状況を作り出すことができるといえるのではないでしょうか。もちろん、自分自身のお勧めのコンテンツ、さらには商材などもリスナーとの関係性を築きながらお勧めしていくことができます。(翻訳すると、小規模事業者やクリエーター、フリーランサーにとって一大チャンスだという意味です。)
5. 魅力的なチャンネルにするために
音声配信の特徴は、深く近い関係性をリスナーと作り出すことができる点にあるといえます。エージェントゆきさんによれば、「自分が楽しく配信できて、リスナーさんからの反応があってということであれば、実は10人から20人位のコアなファンの方がいれば 精神的にもかなり満足でき、その後の展開にもつながっていく」と言っています。
また、そういった方たちからのコメントは、放送を楽しみにしてくれていて、しっかりと聞き安心してコメントを読むことができるともいいます。
アメリカのとある調査では、リスナーは平均して6個から7個の「お気に入りチャンネル」があるといいます。また、stand.fmの創設者あやたさんによれば、「アクティブユーザのアプリ滞在時間は1日平均80分」とのことです。 これは、ブログなどのメディアと比較して、 1つのサイトに滞在する時間と比較してみれば、非常に長い時間と感じられます。
エージェントゆきさん自身、音声配信チャンネルを始めるにあたっては、コアなファンの方から広げてもらう方法が、長い目で見て良いと考えています。実際に、彼女のチャンネルもコアなファンの方が広げてくれたようです。
したがって、チャンネル開設当時の コアなフォロワーを大事にし続けるということ、居心地の良いチャンネルを提供し続けるということが大切だと言っています。
プラットフォームの創立者の思い
ここで取り上げた多くのプラットフォームには、それぞれの特徴のある音声配信となっています。そんな中、独自型のプラットフォームでは、創業者が特徴のある考え方でサービスを提供しているといいます。
そんな例として、エージェントゆきさんはスターバックスの創業者ハワード・シュルツの思いを紹介しています。彼は、「居心地の良い場所を作りたかったのです。ただ深入りコーヒーを提供するだけではありません」と表現しています。
独立型のプラットフォームの1つstand.fmの創立者あやたさんは、その創業の思いを次のように語っています。
「stand.fm」の設計で少し意識していることがある。
・やさしいインターネット
・近いインターネット
・深いインターネット」「表現の場がテレビからインターネットに移り芸能界のスーパースターがいよいよ本格的にYouTubeに参入したり、ネットとマスコミの境界線もなくなってきて、インターネットの空気が、よくも悪くも、急速にマスコミ化してきたと感じている。」
「コンテンツに平等にアクセスできることが良さであるが、みんながフォロワーを増やすことや、PV最大化のためにアテンションを集めるのに必死」
「その反動で、届かなくて良い人が勝手に見てきてブチ切れたりする。とても炎上しやすく、ポリスと風紀委員が生結をしていて、息苦しさもある。」
「そうした空気の中で、優しい場所を作りたいと思った。今の世の中ってどこか孤独を感じて、どこかつながりを求めている。なぜか距離が近く感じられて、本音で繋がれる、その人の人となりが伝わってくるような顔。 100人に刺さらなくても、恋つながりの1人が生まれるような場を」
「思い近いものを思い浮かべると、それはラジオだった。ラジオが濃い、熱狂的なファンが多くて、どこかつながりを感じる、独特な場のように感じていた。パーソナリティーの方にとって、自由に本音を話せるホームのような場所であることが、そうした空気を作っている気がした。」
このstand.fmの創業者の思いは、確かに音声配信のパーソナリティーの配信の中に現れていると思います。そしてこれが、音声配信だからこその特徴であり、メリットでもあると言えるのではないでしょうか。
にぎやかなチャンネルを作るためのテクニック編
エージェントゆきさんは、まったくのゼロからstand.fmを始めるにあたって特に工夫したテクニックがあるといいます。
それは次のようなものです。
- stand.fmをメインチャンネルとしてコンテンツづくり
- AnchorからPodcast、Spotifyで同時配信
- Twitterに放送の更新を投稿
- Instagram (投稿とストーリー)に放送の更新を投稿
- Facebook(個人ページとFacebookページの2つ)に放送の更新を投稿
- note(スクショや解説も加えて)に放送の更新を投稿
これにより二毛作ならぬ十毛作にたるくらいにコンテンツを多重に活用しています。(これは、英語圏ではリパーパスと呼ばれるコンテンツの価値を拡散効果により高める方法です。)
特にエージェントゆきさんは、1番相性が良いのは音声配信とTwitterだといいます。なぜならば、相互の流入がとても多く、どちらも同じペースでフォロワーさんが増え続けるからだといいます。
また、stand.fmは「音声配信のパーソナリティー」である人と「リスナー」が同じである場合が多いといいます。したがって、「この人の放送を聞きたい」ということと同時に「仲良くなりたい」「つながりたい」と言う気持ちでフォローしてくれることが多い のです。
音声配信のプラットフォームの1つの欠点は、ユーザ同士がSNSのように「すき!」「いいね!」することでお互いが見つけやすくなるような関係性がなかなか現れてきない点です。
ここに、Twitterのようなところをワンクッションかませることにより、 お互いがより見つけやすくなり、また同時に、コミニケーションがもっと密になる、同時にもう片方のプラットフォームのフォロワーになることも多いのです。
毎日同じ時間にアップロードやライブ配信
エージェントゆきさんは、音声配信の公開時間とリスナーのつながりは大きく関係するといいます。 これは彼女自身が、リスナーの立場で毎日同じ時間に音声配信を聞く習慣があったという点が大きなヒントになりました。
朝起きて仕事に行く準備をしたり、在宅ワークの準備をしたりするまでの朝の時間帯に 習慣的に同じ朝の時間帯に聴くと言うことが多かったからです。
これを、実際に自分の配信にも応用して毎日同じ時間にアップロードやライブ配信をしたところ、非常に大きな反響があったということです。
毎日その時間になると「そろそろ〇〇さんの放送が始まるな」というリスナーの習慣に組み込んでもらえたら、どれほどつながりが強くなることでしょう。
6. 収益化のしくみ
比較的新しい音声配信のプラットフォームですが、収益化の道も少しずつ開けてきています。そのいくつかをご紹介します。
2020年9月にはじまったstand.fm パートナープログラム(SPP)では、再生時間に応じて配信者が収益を受け取ることができます。プラットフォーム自体はまだ、広告収益が見込めないため、資金調達の中からの資金配分という意味合いです。これには、当初、応募して選ばれるというステップが必要でした。
stand.fmのメンバーシップで 全ユーザーが収益化可能
これまでは公式パートナーのみが再生時間に応じた収入のみでしたが、2021年2月から「声のサブスク」がスタートしました。これで実質的に「誰でも」「すぐに」収益化できることになったのです。
この「声のサブスク」とは、月額課金ユーザー(メンバーシップ)だけに収録放送を公開できる機能です。配信者は既存チャンネル登録者との、より深く、優しいつながりを通じて収録放送を配信できます。
Voicyは審査を通過したのみが配信可能
stand.fmに対してVoicyでは、収益化の前に、まずはパーソナリティとして参加するために審査を通過する必要があります。誰でもが参加して簡単に収益化できるものではありません。
Voicyは2020年初からのわずか3ヶ月間で月間利用者数が3倍に増えるなど、現在急成長中の音声配信メディアです。すでに企業の音声広告が始まっていて、次のような収益化ができるということです。
- 企業による「スポンサー」
Voicyは企業スポンサーを募っており、配信者は放送で企業の宣伝をすることで収益を得ることができます。 -
月額課金機能「プレミアムリスナー」の利用
配信者は自分で料金を設定し、プレミアムリスナーを募ることによっても収益を得ることができます。 -
再生数に比例した収益化プログラム
2010年12月に発表され、2011年から実装されるということで今後が楽しみです。
いずれにしても、まだまだ新しい急成長をしているメディアですので、いますぐに大気や収益を見込めるというものではありません。
それよりも、音声配信という特徴を最大限に活用して、コアなファン層を集めてくる、自分を大好きで応援してくれるコミュニティを作るという部分が一番の魅力と言えそうです。そして収益は後からついてくるというものなのでしょう。
本書では、エージェントゆきさんが実践した有料サブスク配信の価格設定の考え方について詳細に述べられています。また、他のSNSとの連携についても非常に参考になるアプローチが公開されています。
音声配信プラットフォームとnote、Twitter、facebook、Instagramなどと組み合わせることで、マルチチャネルから集客しながら、より深くコアなファンと結びついていくプロセスが構築できる予感がしてきます。
実際に、エージェントゆきさんの場合は、先ほどの「にぎやかなチャンネルを作るためのテクニック」をさらに展開しています。
彼女は当初、noteで有料定期購読マガジンを販売していたときには、他の仕事や音声配信と重複して書く内容に困っていたといいます。これが、stand.fmを中心にした配信方法に変えたところ、不思議なことが起こったといいます。
それは、noteの定期購読マガジンではコンテンツのアイデアや製作時間に困っていたところが、stand.fmのメンバーシップチャンネルでは不思議と話す内容に困らなくなったというのです。
これは「書く」と「話す」の違いだとエージェントゆきさんはいいます。メンバーシップチャンネルでは「素」の自分を見せています。無料の公開放送では、ある程度のストーリーと流れを考えてから話すそうです。これに対してメンバーシップチャンネルでは「話したいこと」のネタだけを持って収録するといいます。
有益なこと、ためになることを発信するという方法もありますが、コミュニティを作ってそこに気負わずに素の自分を出してみる、コミュニティを成長させていくというアプローチは他のSNSにはない、全く新しいインフラの登場にワクワクしてきます。
また、エージェントゆきさんはVoicyの審査を通過してパーソナリティに選抜されたことをきっかけに、Kindleで本の出版にも挑戦していきます。その結果が今回のレビューの対象となった本書です。
この本の執筆については、彼女のリスナーたちがさまざまな意見を配信時にコメントして応援しています。また、出版での販売開始時には販売にも協力しています。
このような、商品を作る企画やコンテンツの作り込みの段階からさまざまなコメントがもらえ、それを反映してより良いものになっていく。さらには、販売開始時の「ローンチ」の最初の購入者やメッセージの拡散、果ては読書レビューを書いてもらえるなど、最先端の商品開発とマーケティングの姿が見えてきます。
またこういった活動の副作用として、本業である国際同時通訳や翻訳のお仕事の連絡が舞い込んできているとのことです。
音声配信の可能性については、誰でもが一度は検討してみる必要がありそうです。
7. こんなプラットフォームを探していた
エージェントゆきさんの強みは、その人間性と積極的な姿勢です。彼女のパーソナリティとしての人柄に惹かれ、たくさんのファンが毎日の音声配信に集まってくるというのが上手くいっていることに間違いはありません。
彼女を応援するファンが集まるコミュニティを作り出すことができたのが、一番の成功要因と言えそうな気がしてきます。
自らが配信者であり、お互いにつながって進んでいこうという仲間たちが集まる場ができたということなのでしょう。
そんな参加者が、音声配信を始めたきっかけ、なぜ音声配信を始めたか、音声配信が大好きな理由をエージェントゆきさんがメンバーに聞いてみました。今回の記事で興味を持った人の参考になるかもしれません。
実際に配信をしている方の生の声をそのままご紹介いたします。
stand.fmのライブ配信の中で「音声配信をどうして始めたの?」とお聞きしました。配信者さん、リスナーさんの生の声を、項目ごとに分けてご紹介いたします。
音声配信を始めた配信者とリスナーの生の声
ながら聴きが生活スタイルに合っている
- ながら聴きできるのが良い
- バックグラウンド再生してくれるのが良い
- 運転中に流しっぱなしにしておけば、ラジオの代わりとして聴けるから
ながら配信もできる
- お昼にコーヒー豆を挽きながらライブ配信しているのを聴いて、ながら聴きだけでなく、ながら配信も音声配信の魅力
気軽にはじめられる
- インスタライブよりも気軽にできる
- 顔出ししなくていいので、メイクもしなくていいし、気楽にできる
- 動画を作るより時間がかからない
- 自分の声を活かすことができる
- ブログより敷居が低い
- 気軽にやっている楽しい番組が多そうだったから
身近な人がはじめたのを見て、やっている人を見て
- コーヒー店の知り合いがstand.fmはじめたとツイートしたのを見た
時代のトレンド、副業の一つとして
- 音声配信の流れが来ているので、それに乗ろうと思った
まわりの環境の変化
- コロナの影響により仕事量が減って時間ができた
自己表現の一つとして
- アウトプットして、自分のネームバリューを高めたいと思った
- 新しいことにチャレンジしたり、自分の頭の整理をする場所にしたいと思った
生活習慣をつけるため
- 朝に収録することで自分を鼓舞してる
プラットフォームの選び方
- おしゃれなイメージだったから
- stand.fmはより大人向けだと思った
- stand.fmには優しい人が多くて治安がいい、という記事を見つけた
やってみてどうだった
- はじめて配信した時は、とても緊張した
- スマホに向かって話すのが、最初はどうも調子が取れなかった
続けられた理由
- いろんな人に出会える
- 人との交流や人からの反応が多く、モチベーションが上がる
- ライブによって横のつながりを感じられて面白い
- ライブで、リスナーさんや、自分がリスナーとして聴いている配信者さんと交流できて面白い
- どんなバックボーンの人とも対等に仲良くなれる
- いつ来ても誰かがいるので、学校のクラスルームのような感じがする
- ライブに来てくださった方から、いいね、をいただいて、つながりが生まれる
- 聴き専門だったが、聴いているうちに自分もやってみたくなり、配信者になった人もたくさんいる
家族よりも近い存在に?
- 音声は、文章よりもその方の温度を感じる
- 音声には言葉以外の情報がつまっているので、相手の世界に入っていくような感じがする
結論:
さて、ここまで読み進んでどのような印象をお持ちになったでしょうか?
私自身の印象は、これは「自分のラジオ局を持つ」ということのように感じます。そうはいっても、古典的な電波で流れてくるラジオ放送とは違い、スマホやパソコンからいつでもどこからでも、自分が好きな時間に聞くことができます。
もちろん、ライブ放送をすることもできます。違うのは、コメントでリスナーが放送する側のパーソナリティとその場でやりとりができることです。
さらに違うのは、音声配信プラットフォームを利用することで、SNSの投稿のようにコメントをやりとりできます。
また、有料配信のサブスクを使えば、自分自身の有料サロンのコミュニティを作ることも可能です。
全て、stand.fmなどのプラットフォームで必要な機能が実装されていて、すぐにでも始めることができます。本書は、それを始めるためのまさに「教科書」としての存在です。カテゴリーランキング1位を継続しているのが納得いきます。
stand.fmの創始者のあやたさんがいうように、冷たくなってしまったネットの世界にもう少し「やさしく暖かい、深くつながって、近い」インターネットが登場したといえるのかもしれません。
自分自身のファンとなって、同じコミュニティの一員としてつながっていくような場面を想定するのであれば、音声コミュニティは全く新しいメディアとしての価値が高まっていくことに間違いはないように感じられます。
さらには、noteやブログ、Twitterから乗り換えるのではなく、同時進行で連携していくことで相乗効果が広くアプローチしていくことが期待できます。
そうは言っても、まだまだ音声配信は広く認知された存在ではありません。
誰でもが向いているとは言えないかもしれません。ここに登場したエージェントゆきさんのように、リスナーとつながり、ケアしていけるパーソナリティが必要なのは確かでしょう。
単にPVや集客が目的ではない、自分自身の温度感のある、応援してくれるコミュニティを作り出せるメディアとして、エージェントあいさんのケースは新しいメディアが登場したことを予感させるものといえます。正しく「ブルーオーシャン」の登場です。
自分自身の発信の場所として、一度考えてみる価値があるといえそうです。その意味で、本書「音声配信の教科書」は、一読の価値が高い一冊だと言えます。おすすめです。
音声配信の教科書 声のブログを始めよう
おすすめのアプリから魅力的なチャンネル作り収益化のしくみまで
綾瀬友希(エージェントゆき)
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このレビューを書いた人:
大山賢太郎
著者: デジタル読書のすすめ: 深層読書とナレッジベースがあなたの脳を覚醒する
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