Last Updated on 2018年10月30日 by 大山賢太郎
この記事では、Kindle 海外 という2つの観点から、「Kindle本はなぜ海外から買えないのか」という海外に住む日本人にとっては、永遠とも思える謎を解き明かしていきます。
これには、おもに4つの理由があると考えられます。これを一つ一つ解き明かしながら、どうしたら海外から簡単に、しかも無料や割安で日本語のKindle本を手に入れ海外で読書三昧できるのか、その考え方やアプローチについても触れます。
目次
海外在住の日本人にとっての読書の時間:至高のひととき
海外に住んでいる日本人にとって、日本の本の読書は何事にも代えがたい価値のある大切な時間です。自分のアイデンティティを再確認し、日本文化を感じながら至高のひとときを過ごすための大切な方法だからです。
筆者自身、約十年間をアメリカで学生生活と駐在員生活をしていた経験があり、これを身を持って体験した一人です。週末に訪れる日本人向けのマーケットで、当時でも日本の約2倍もする価格の本や雑誌を読み漁ったものです。
海外で日本語の本を手に入れるのは、価格からも品揃えからも不便極まりないと言えます。もちろん、ニューヨークなどの大都市には紀伊國屋書店などがあり、海外に日本語の書店や本が全く売られていないわけではありません。そうは言っても、その場所や品揃えが圧倒的に限定的で、ほとんどの海外に住む日本人には簡単には手の届かないものです。
したがって、海外に住む日本人にとって日本Amazonの日本語の本の品揃えと利便性は、非常にありがたい恩恵となっています。この結果、海外に住む日本人が日本語の本を手に入れるには、自然と日本Amazonの日本語書籍から選ぶことが多くなります。
しかし当然ながら、海外で日本語の本を手に入れるには、まず日本Amazonで購入し、わざわざ海外まで時間と費用をかけて配送して自宅に届くまで待つ必要があります。これは海外に住む日本人にとって、どうしても避けられない障害です。
このような中、日本AmazonでKindleストアが開始されるといううわさは、これは海外居住の日本人読者に大きな期待をもたせるビックニュースでした。
2012年秋、日本では日本AmazonのKindleストアがオープンし、日本語の電子書籍が手に入るようになりました。当初少なかった品揃えもその後急速に豊富になり、デジタルならではの場所や時間を選ばない、その他の多様な機能が注目されるようになってきています。
しかしここに立ちはだかったのが、海外で日本AmazonからKindle本を購入しようとしても買えないという問題です。これは、当初からAmazonのクチコミのフォーラム(「海外で使う日本版Kindle」
)などでも盛んに議論されてきました。これは一体、なぜなのでしょうか?
Kindle 海外: なぜ、日本語Kindle本は海外から買えないのか?
現在でも、この問題は解決されていないように考えられています。先ほどのAmazonのフォーラムでも、2012年に始まったスレッドにもかかわらず、その出口は見えてこない展開が何年も続き、今でも問題解決に至っていません。
本当にそうでしょうか?
この解決方法については、電子書籍の窓のお役立ち記事の「海外在住の方が日本語のキンドル本を購入して読書三昧する方法」で詳しく解説しています。また、私自身の経験からも、この問題に海外の方々が知っているのかどうか、とても関心があります。
そこで、この記事と平行して海外に住む日本人の方向けにアンケート(「海外から日本語キンドル本を読む−Amazonへの要望にご協力ください」)を継続的にお願いしてきました。これまでに、世界中の日本人読者からは、引き続き「日本語Kindle本を海外のお住いの地域から購入できない」という回答が数多く寄せられています。
そこで、私自身の関心からも、ここ1年以上をかけて調査をしてきました。その結果見えてきたのは、意外な事実でした。そしてこれは、主に4つの原因に起因していることが分かりました。ここにその理由を解説していくことにします。
1、Kindle電子書籍の販売が、各国のKindleストアに限定されている(Amazonのローカルルール)
Amazonは、Kindle本を始めるデジタルコンテンツの購入できる地域を居住国に限定しています。これは、Kindle本をはじめ、ビデオ配信、ミュージックでも同じです。
電子書籍を扱うKindleストアは、現在、日本を含む以下の世界13カ国で展開されています。そしてそれぞれの地域のAmazonでは、地元のIPアドレスからアクセスした場合のみKindle本を購入できるようにしています。
しかし同時にKindleストアでは、それぞれの国の本だけではなく自国以外の電子書籍も取り揃えています。例えば、Amazon.comの外国語カテゴリーには77万点以上の外国語のKindle本が販売されています。Amazonの世界13カ国の日本語をはじめとする外国語カテゴリーの品揃えを一覧にまとめると、以下のとおりです。(2015年9月現在 出所: Amazonの13カ国のKindleストアの外国語カテゴリーの数値より集計)
例えばAmazon.comでは、日本語や英語以外にもフランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、オランダ語、中国語など、幅広い言語が含まれています。この中には、63,000点の日本語のKindle本も含まれています。同じように、日本Amazonでは、日本人にとって外国語である英語をはじめとする400万タイトルの洋書を購入できます。
したがって、例えばイギリスに住んでいる人は、イギリスからAmazon.co.ukにアクセスして外国語カテゴリーにある日本語のKindle本を手に入れることができます。購入できる冊数に制限はありません。
では、どうして海外から日本語のKindle本を購入できないという常識が存在するのでしょうか?
多くの場合、海外に住む日本語の読者は、すでに日常的に紙の本を日本Amazonから購入しています。このため、日本語Kindle本も日本Amazonから購入しなければいけないという先入観があり、当然のように、日本Amazonのアカウントで日本のKindleストアにある電子書籍を購入しようとするからです。
「なぜ、海外から日本語Kindle本が購入できないか。」この疑問には少し誤解があることがおわかりいただけたと思います。
このローカルルールの運営上、日本Amazonは海外からの購入に対しては、最初の数冊(通常は5冊程度)を購入した直後にブロックを自動的にかけるようにしています。この点が、これまで日本人読者の間で議論されてきた問題点なのです。
ちなみに、これをジェイルブレイク(技術的に回避する)方法もあります。Amazonは主にIPアドレスでアクセスしてきた地域を特定するため、技術的には海外のサーバーを経由するなどすれば、この制約を回避することができるからです。しかしこれは、このあとから説明するように、根本的な解決方法とはなりません。
2、AmazonのKindleグローバル戦略と税金の問題
Amazonが電子書籍を含むデジタルコンテンツの販売にローカルルールを採用したのには、必然的な要因がいくつか存在します。その第一が、税金の問題です。
Amazonが世界13カ国でKindleストアを展開し、ローカルルールを適用する理由となった要因に、デジタルコンテンツの税金と著作権という問題があります。この法律上の課題は、インターネットとそのうえで展開されるビジネスがグローバルな範囲で急成長するに連れ、さらに大きな国際的問題となってきました。
これまで、紙の本や現物の商品を扱うのであれば、輸出入の関税や現地の事業所での申告などで把握できます。これに対してデジタルコンテンツでは、紙の本といった一般的な現物の商品の在庫や事業所なしで、一瞬にして国境を超えて世界中で販売することができます。
これはインターネットの登場以来、特にデジタルコンテンツ・ビジネスの急成長で国際的な課題となっていました。例えば、世界各国の法律や税制が実態にそっていないために、各国が徴税しようにもできないという問題があったのです。
というのも、Amazon、Apple、Googleといったクラウド上で膨大な規模の事業を行う企業は、タックスヘイブンや国際間の税制のギャップなどをうまく利用して、グローバルな節税に務めてきたからです。
ですから日本をはじめとする各国の税務当局との税務上の紛争が絶えませんでした。そしてこれは、既に一国の税務当局だけでは解決できなくなっていたのです。これを解決するべく、先進国をはじめとする多くの国の当局が参加して、OECDの調査委員会で議論を重ねられてきました。
Amazonの日本のKindleストアについて言えば、日本で販売する電子書籍はアメリカのLLC法人であるAmazon International, Inc. が販売しています。したがって、日本Amazonが日本で事業をしていても、これまでは日本の消費税が課されることはありませんでした。
これに対して、同じ電子書籍に消費税を支払っている日本の出版社は、これを不公平であると主張していました。税収不足にあえぐ日本の国税も見逃しておくわけには生きません。ちなみに、この状況は、カナダ法人であるKoboを買収して始まった楽天Koboでも、外国法人が日本で電子書籍を販売して消費税を回避するのは同じでした。
2013年2月に、OECD(経済協力開発機構)の租税委員会は「税源浸食と利益移転(BEPS: Base Erosion and Profit Shifting)行動計画」の1で、デシタルエコノミーと課税問題について課税の方向性を示しました。参考資料 KPMG – 税源浸食と利益移転(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting), OECD BEPS Reports
特に電子書籍に関連しては、デジタルコンテンツの売上に対する付加価値や売上に対する課税は、販売者の事業所の所在地でなく、消費者の居住国で決めるというものです。この直後からEUの付加価値税や日本の消費税については、この指針に沿って大きな進展がありました。
EUでは、2015年の1月1日からデジタルコンテンツの付加価値税の購入者の居住地ベースでの課税を開始しています。 日本でも、2014年の税制改正で、日本に住む顧客へ販売するデジタルコンテンツやサービスには消費税が課されるようになりました。(参考資料: EY – Taxation of Electronic Commerce in the European Union)
これは2015年10月1日から施行され、日本のKindleストアでは、著者の居住地や出版社の所在地にかかわらず)日本のKindle本を対象に消費税を含む価格(内税)で販売するようになりました。(「国税庁 – 電気通信利用役務の提供」に係る内外判定基準の見直し」)
日本の消費税を課す対称となるのは、日本に住む購入者です。したがって、日本Amazonで販売する日本語Kindle本や海外の著者や出版社が日本の居住者向けに販売するKindle洋書などには、全て日本の消費税が課され、日本の税務署に支払われなければなりません。
この一方で、日本人の著者や日本法人である出版社が販売する電子書籍を、例えば、Amazon.co.ukを通してイギリスに在住する人(日本人に限らずイギリス人であっても)に販売する場合には、イギリスの付加価値税が課税され、イギリスの国税当局に支払われます。
これをうまく運用するには、「各国のAmazonのKindleストアから購入できるのはそれぞれの国の居住者に限定する」というローカルルールが必要だったのです。
3、Amazonの世界各国Kindleストアと出版社との交渉と販売戦略
もう一つの要因は、Amazon自体のKindleストアの世界戦略に起因します。海外に住む日本語読者にとっては、これが最も大きな可能性を秘めているかもしれません。
Amazonは、世界13カ国でKindleストアを展開しています。この中には、Amazonがアメリカで展開する以外の主要な国々で、それぞれ巨大な出版社が存在したり固有の慣習や出版文化を持つ国が多くあります。
例えば、同じ英語圏でありながら、イギリスやオーストラリアは全く違う出版文化や読者が存在します。さらに日本やドイツなどの非英語圏では、言語や慣習などの違いが特に大きな問題となります。
また、日本を含めた各国の出版社は、オンライン書店としてのAmazonの圧倒的な販売力に対して警戒したり対抗する戦略を取りたい一方で、Amazonに販売協力してもらいたいという一面も持ち合わせています。このような事業上の交渉をやりやすくするためには、世界中の主要な出版マーケットに子会社を持つ必要があったのです。
また、AmazonはKindleストアの開始当初からKindle Direct Publishingで個人でも自由に自分の本を出版できるようなインフラを用意しました。これは世界中の誰でもが出版社を通さずに、地元のKindleストアやAmazon.comから自由に電子書籍を出版できるというものです。
こういった主要国での著作権も管理しながら著者や出版社と交渉し、同時に各国の個人出版のマーケットを成長させるためにはローカルな対応が必要だったいう点も、実はローカルルールの重要な要素でした。
このようなAmazonのKindle戦略は、これまでに目覚ましい成果を上げてきたと言わざるを得ません。現在ある電子書籍の市場が急成長した要因は、このAmazonの事業展開によるところが大きいのです。
Amazonのジェフ・ベゾスがKindleストアを短期間で立ち上げた理由の一つに、ソニーがバソコンと連携した電子書籍リーダーと限られた電子書籍でアメリカ市場に打って出たことだと云われています。
この直後から、驚くべき短期間の準備で、2007年に90,000点の蔵書でKindleストアを開始し、前述の図表でもお分かりいただけるとおり、現在では1,000万点を超える世界最大の電子書籍のオンラインストアまでになりました。
このグローバルな急成長を短期間で可能にしたのは、2012年からの世界展開を日本を含めた13カ国のAmazonでローカル展開したからだと言えるのです。
4、日本の出版社が海外の販売に注力していない
最後に、海外の日本語読者が海外で日本語のKindle本を自由に読むためには、現時点で最大の障害となっている要因がこれです。これは、海外の日本語読者が最も注目すべき点と言えます。
Kindleストアのグローバル展開に先立ち、Amazonは着々と着々と準備をしていました。そしてついに、日本では2012年にKindleストアを開始しましたた。これと時を同じくして、イギリスとドイツでKindleストアを立ち上げ、その後数年で、世界13カ国でKindleストアを展開するまでになりました。
Amazonがグローバル展開を急いだ理由としては、GoogleやAppleの存在があります。Kindleストアと相前後して、Googleは世界中の一億二千万冊の紙の本をスキャナーでスキャンして電子化し、インターネット上で公開して検索可能にすると発表しました。このニュースは世界中の出版界に激震を走らせ、その後の国際的な係争事件へと発展しました。(How Google Counted The World’s 129 Million Books, The Google Library Project: Both Sides of the Story)
この後、Googleに加えてAppleもiPadを引っさげてiBooksで日本進出することになります。これを日本の多くの出版社や関係者は黒船襲来と呼び、日本でも電子書籍の市場が本格的に準備されることになります。その後、一部の印刷会社や出版社が電子書籍のオンライン書店を立ち上げたり、電子書籍部門でオンライン上のマーケティングに力を入れ始めたのです。
当初、多くの出版社は電子書籍市場については消極的でした。しかし最近では、電子書籍市場が出版不況のV字回復の起爆剤となると、多くの出版社のトップが考えるまでになりました。
これは、朝日新聞が主要出版社のトップとのインタビューをまとめた「出版不況の終焉 出版6社トップが語る、電子書籍の成長で見えてきたもの (朝日新聞デジタルSELECT) [Kindle版]」詳しく知ることができます。(残念ながら、この電子書籍は海外のKindleストアでは販売されていません。)
現在では、ほとんどの新刊の書籍では、電子書籍と紙の本とが同時に販売されるようになってきています。Kindleストアでは、毎月、一万冊を超える電子書籍がKindle本リストに追加されています。
この記事の執筆現在では、当初70,000冊で始まったKindleストアの日本語Kindle本の蔵書は40万冊を超えるまでになりました。また、Kindle洋書やKindleコミックを含めれば、わずか数年で100万冊を超えています。全世界では1,000万冊を超えるまでになり、その成長はとどまることを知らないようです。
このAmazonの日本を含む全世界でのマーケットシェアと販売力は、Google、Apple、楽天Kobo、日本のその他のどのオンライン電子書籍書店と比較しても、圧倒的な販売力と成長のスピードには疑いの余地が無いほどです。(What market share do Amazon, Apple, B&N Kobo and Google have selling eBooks?)
そうは言っても、海外のKindleストアで販売される日本語Kindle本は、悲しいほど少ないというのが現実です。最大のAmazon.comでさえ63,000冊程度、それ以外の国のKindleストアでは4万冊程度です。日本AmazonのKindleストアのわずか十分の一程度でしかありません。
これは、当初の紙の本を電子化することに対する出版社や著者のカルチャーショックや批判論に起因するものかもしれません。と言うのも、日本では再販価格維持制度という独占禁止法の例外があるために、紙の本の価格は日本全国の書店網を通じて、定価で販売されることが現在でも許されているからです。
これに対して、電子書籍にはこの例外が適用されません。これが、日本の紙の本が定価で販売されるのに電子書籍が無料キャンペーンや割引価格で販売される理由です。そしてこれが出版業界や一部の著者は、日本の出版文化への脅威だという議論にもつながりました。
例えば、これは村上春樹が自著を電子書籍で販売することに反対していたことにも表れていました。しかし今では、電子書籍は日本の一般読者にも受けいられつつあります。また出版社も本腰を入れ始めています。
特に、大手出版社がマンガをキャンペーンで無料配信して呼び水にしています。これがスマホで読まれることで大変な人気となっています。さらに、2015年秋には村上春樹氏の著作がさえ電子書籍化され、以前ではありえなかった販売キャンペーンで大変な人気を博するまでになっています。
日本より先に電子書籍市場に火がついたアメリカでは、Kindleの電子書籍リーダーで小説を読むことがきっかけで普及期が始まりました。日本では、スマホの急速な普及と、時を同じくして大手出版社が積極的にマンガの無料キャンペーンを展開するという、日本独自の展開が始まっています。
この一方で、こういったマンガの無料キャンペーンなどは海外のKindleストアで開催されるのは稀なケースです。また、そもそも海外のKindleストアで手に入る日本語Kindle本はごく限られた範囲でしかありません。
特に、大手出版社が海外で購入可能としているのは探すのも困難なくらいです。海外に住む日本人が170万人とも200万人とも言われる中、とにかく残念と云わざるをえません。
これは、日本の出版社が電子書籍の販売に本腰を入れたばかりで、海外の市場にはまだ気づいていないからだと言えます。あるいは、これまでの法整備や係争事件が尾を引いているのかもしれません。しかし今となっては、あまり大きな理由だとはいえないのではないでしょうか。
海外に住む日本人にとっての日本語の本の読書は、とても大きな意味があります。多くの読者が心待ちにする巨大な需要が存在するのです。何らかのかたちで、海外に住む読者の声を日本の出版社に伝えたいところです。
海外に住む日本語読者が、ザクザクの蔵書リストから日本語の電子書籍を手に入れる方法
では、どうしたら海外に住む日本語読者がザクザクの蔵書リストから日本語の電子書籍を購入できるのでしょう。また、どうしたら海外のAmazonにワクワクするほどの日本語のKindle本の品揃えを用意してもらえるのでしょう?
その方法と今後の可能性について、筆者が日本AmazonやAmazon.comと繰り返しのやりとりや調査から得た情報を元に、簡潔に説明してみます。
1、世界13カ国のKindleストアを利用して日本語の電子書籍を手に入れる
これまで、日本Amazonで日本語の紙の本を購入して海外に発送していました。この延長で、日本語のKindle本も日本Amazonで購入しようとし、最初の数冊が購入できた後は、ブロックされてできないという状況でした。
この記事の冒頭の「Amazonのローカルルール」で説明したように、Amazonは世界13カ国のKindleストアで日本語の電子書籍を販売しています。
このリストの含まれる海外のAmazonでKindleストアがお住まいの国にあれば、地元のAmazonにアカウントを開設して購入する手配を今すぐにするべきです。お住まいの国や地域にAmazonのキンドルストアがない場合には、Amazon.comから購入できます。(残念ながら中国のAmazonにはKindleストアはありません。)
現地語に苦手であったとしても、最近は翻訳の技術が進歩しています。Google Chromeを使えば、日本語にも英語にも瞬時に翻訳して表示してくれます。完璧ではありませんが、意味は十分に理解できるレベルです。
あるいは、手続き自体は日本Amazonでアカウントを開設する方法と基本的には同じですので、日本Amazonのアカウント開設のページを平行して順にたどりながら進めることもできます。これで外国語カテゴリーにある日本語のKindle本カテゴリーからお好みの本が手に入るようになります。
海外に住んでいることで、デメリットとなることばかりではありません。日本Amazonではなく、海外のAmazonのKindleストアで日本語のKindle本を購入するのには、思わぬメリットも有るからです。
例えば、AmazonではKindle Unlimitedという読み放題のサービスがあります。これは、著者や出版社がKindle本の貸し出しに同意する設定を出版時にしていれば、月々米ドルで10ドルほどの定額で読み放題となる貸し出しサービスです。
残念ながら、このサービスはこの記事の執筆現在、これは日本ではまだ始まっていません。しかし、日本、オランダ、オーストラリアを除く世界十カ国のKindleストアでは、今すぐ試すことができます。通常は、最初の一ヶ月程度がお試し期間で無料ですので、気軽に試すことができます。もし気に入らなければ、この期間中に解約すればよいからです。
2、日本Amazonで探して、地元のAmazonのKindleストアで同じ本を購入する
海外のKindleストアでは、日本語の本は探しづらいという事実は否めません。なによりもまず第一に、本のタイトルが日本語で表示されません。ですから、自分が読みたい本を探すのは、とても苦労することになります。
これは意外なのですが、最近では海外のAmazonサイトでも日本語検索できるようになってきています。検索できるのは、主にKindle本に限られますが便利ですのでお試しください。例えば、「読書三昧」と検索すれば、(「」なしで検索)拙著が数冊検索されます。
ここで注意しなければいけないのは、日本語タイトルと著者名で検索できる場合とできない場合とがある点です。これは、検索の対象が著者や出版社が出版時に1冊に対して最大7個まで設定したキーワードに限られるからです。
海外で日本語Kindle本を探す一番簡単な方法は、日本語で表示され、40万タイトルの日本語のKindle本が販売されている日本Amazonで見つける方法です。
まず日本のKindleストアで本を探し、商品ページの「登録情報」欄の書籍情報の中にあるASINと呼ばれる全世界共通のAmazonの商品番号を見つけます。これを地元のAmazonサイトのページ上部にある検索ボックスで検索すれば、一発で表示できます。(Kindleストアだけでなく、Amazonのサイトであればどこからでも簡単に検索可能です。)
3、海外のAmazonのKindleストアに日本語Kindle本の品揃えを増やすには?
先ほどのASINを使って地元のAmazonで検索をしても表示されない場合には、その本は海外のAmazonサイトで販売されていないということです。ではどうしたらよいでしょうか?
現在のところ、海外のKindleストアで販売されている日本語Kindle本は、残念ながら十分に満足の行くものとは言えません。2012年からのわずかな期間で、数万冊までがスマホやパソコンで海外にいながらでも、その場ですぐに手の届くまでになったのは事実です。
だからと言って、のんびりと待っているわけにはいきません。ですよね。今すぐ欲しいと思うのは、私だけでなく誰でも同じです。
海外のKindleストアで販売するかどうかは、Amazonが勝手に決められません。著者や出版社の販売上の判断に依存します。しかし、手続き的には簡単です。例えば、私を含めた個人の著者が自己出版するには、Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)の管理ページで該当する国のKindleストアの欄にチェックマークと価格を設定するだけです。
AmazonのKindleストアを使えば、出版社も簡単に海外での販売を開始できるのです。ただし、国内では出版には中間業者である取次が介在する場合もあるようです。しかし、これが海外での日本語電子書籍の販売の障害になっているとしたら、とても残念なことです。
日本Amazonは、海外の読者が直接著者や出版社に読者の意見として届けることを推奨しています。この記事の読者も、海外でどれほど多くの日本語読者が日本語の電子書籍を待ち望んているか、SNSで広めたり、日本でこの事実を知らない著者や出版社に直接メールを海外から届けてみたらどうでしょうか。
多くの人が声を上げ行動すれれば、動かない山はないはずです。
結論 – Kindle 海外: なぜ、日本語Kindle本は海外から手にはいらないのか
Amazonは、電子書籍の販売を世界13カ国のKindleストアを通じてその国の居住者に販売するというローカルルールを持っています。これがKindleストアと全世界の電子書籍市場を急成長させた大きな要因となりました。
しかし一方で、海外に住む日本語読者にとっては、非常に分かりづらいものになりました。結果的に、海外では日本語Kindle本は購入できないという誤解が生まれました。
また、まだ本格的な電子書籍の市場が生まれて間もないこと、また出版社の海外に対する意識が低いこともあり、殆どの場合には、販売やキャンペーンの対象は日本国内にしか向けられていません。その結果、海外のKindleストアの品揃えは悲しいほど貧弱です。
海外在住の日本語読者にとって、AmazonのKindleストアとそこで販売されるKindle本には非常に大きなメリットがあります。これを最大限に活かし今後の可能性をさらに高めるためには、次のような賢い選択や行動が必要です。
- 海外在住の日本語読者がKindleストアの使い方を知る
- 日本AmazonのKindleストアを使って最新情報を手に入れ、地元のKindleスアを活用する
- 海外在住の日本語読者が、非常に高い購買意欲があり、大きな機会損失があることを日本の出版社や関係者に知らせる。また、Amazonにも海外のKindleストアの品揃えを増やす努力をするようにプレッシャーをかける。
海外の読者の声と行動で、ワクワクするほどの蔵書から日本語の本を簡単に手に入れることができるようになるのではないでしょうか。
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「海外在住の方が日本語のキンドル本を購入して読書三昧する方法」
より詳細な背景や利用方法(世界13カ国のKindleストアで好評発売中)
「Kindleストアの歩き方 (海外編): 世界中どこからでも読書三昧! 」
いかがでしたか。私自身も海外で2ヶ月遅れの雑誌を2倍の価格で手に入れたり、回し読みで古くなった本を大切に読んだ経験があります。もし気に入りましたら、是非ともこの記事をおともだちや同僚の方に知らせてあげてください。あなたの意見や行動が、海外で日本語の本を読書三昧できるようになるための、第一歩となります。
また、あなたは、この記事を読んでどのような感想を持ちましたでしょうか?是非、下のコメント欄からあなたの意見を聞かせてください。
hman さんのコメント:
Kindle Storeが日本で始まった時にアメリカから購入出来ない事、日本語コンテンツがアメリカアマゾンで購入出来ないことにがっかりし、ずっと諦めていたのですが、最近面白い経験をしました。 ラノベの「本好きの下剋上」というのに興味を持って検索していたらamazon.comにあるその本が見つかり、見てみるとKindle版もあるではないですか。 早速購入して読みました。しかしシリーズを読み続けようとしたら途中が抜けている事を発見(シリーズはまだ未完で最新の巻は日本で出版と同時に問題なく追加されていました)。 出版社のTOブックスに問い合わせましたら丁寧に対応していただいて、数週間ほどで抜けている分が購入可能になりました。 なぜTOブックスが海外でKindle版を売る選択をしているのか、なぜそれが可能なのかをぜひ取材していただけないでしょうか?
本の棚 さんのコメント:
hmanさま、コメントありがとうございます。出版関係者と近日中に会う約束がありますので、この件に関しても尋ねてみます。その後にアップデートしますね。大山