Last Updated on 2022年6月26日 by 大山賢太郎
読んだら忘れてよい読書のすすめ: デジタル読書術
読書から得た知識が使えない役に立っていないと感じていませんか。読んでも忘れてしまう、血肉にならない、身につかないなど。この記事では、読んでも忘れる読書術を詳しく解説します。
目次
本の読書に必ず存在する「忘れる」「身につかない」という問題
私が運営する本の棚という読書好きが集まるサイトでは、いろんな話題がコメント欄に入ってきます。よくあるものが、読書から得た知識が使えない役に立っていないという点です。
よく血肉になるとか、身につくとか、そんなキーワードで血肉にならない身につかないというような表現で言われます。
読んだら忘れない読書術
この言葉ですが調べてみると、「読んだら忘れない読書術」という樺沢紫苑さんのベストセラーにもなった本から来ているようです。2015年の本です。
読書好きの中では大変人気があります。私自身も本の棚の記事として、「電子書籍の読書術、あなたの読書が驚くほど加速する。厳選7冊とは」というタイトルでこの本を紹介しています。
考え方自体はとても面白くてためになると思います。この本ですが、サブタイトルのところでも「精神科医が教える」というものがついています。
つまり、精神科医が脳科学の視点で考えて記憶に残るかどうかという点を議論しています。「記憶に残らなければ意味がない」というのがこのキーワードになるわけです。
「記憶に残る読書術」: キモとなる部分を取り出してくる
この本の中で、915の位置番号(第2章 「読んだら忘れない」精神科医の読書術 3つの基本 【精神科医の読書術 基本1】)のところで「記憶に残る読書術」というタイトルで詳しく書いています。よく考えると、ここの部分がこの本の肝です。
これが一番重要なところで大体数えてみると850文字程度です。この本を何時間もかかって4、5時間かけて読み進んでいく訳ですけれども、結局のところはこの部分を展開しているだけです。
最初で色んな導入部分があって、ここのところに行き着いて、それを色んな角度から議論をしているということになります。
ここがピックアップできるかどうかはとても重要になる訳ですね。
どんなこと言ってるのかというと、「読書をしても。その本の内容を忘れてしまっては意味がないから、記憶に残す。つまり自分の血となり肉となる。」ここから来ていますね。これがキーワードです。
「自分の成長の肥やしになるような読書。つまり、自分が変わり、人生が変わるような読書が必要」だと。
その為にはどうしたらいいのかというのを、「脳科学の観点から記憶に残すにはどうしたらいいのか」ということを言っています。
記憶に残る読書術のキモとは
結論から言うと最初のインプット、つまり「読書してから7日から10日以内に3回から4回アウトプットをすると記憶に残る。これが脳科学の研究から結論づけられる。そしてこれは、受験勉強などにも利用されている」ということです。
この記憶に残すために必要なことは、「脳がその情報を重要かどうかを判断したものを記憶に残するかどうか」です。その基準というのが「何度も利用されるか、それから心が動いた。つまり、何か感動があった。この感情が動いた」ということですね。
そういった「何度も使われている情報、あるいは感情を動かした出来事」これが脳に記憶に残すための条件で重要だというのです。
人間の脳でこ機能を担っているのが脳の海馬という部分です。この「海馬という部分がその起こった出来事の1、2週間の期間は仮保存」をする。
この仮保存されたものが「2度、3度と引き出され利用された場合には、脳がこれを重要な情報であるというふうに付箋をつける」と言っています。
この重要と付せんがついた知識情報を「記憶の金庫というべき側頭葉に保存すると長期記憶として保存」されていく。
これができれば「10年は忘れない記憶になる」と言っています。「海馬が短期記憶を担い、側頭葉が長期記憶を担う」と、これが脳科学のところで証明されていることなんですね。
読書を10年記憶に残すための4つのステップ
樺沢氏は、これを具体的にする方法もこの本で詳しく説明しています。これは、次の4つの方法です。
①本を読みながら、メモをとる、マーカーでラインを引く。
②本の内容を人に話す。本を人に勧める。
③本の感想や気づき、名言をFacebookやTwitterでシェアする。
④Facebookやメルマガに書評、レビューを書く
「読んだら忘れない読書術」の決定的欠陥
ただし、この自分の記憶の中に残していくというアプローチには、問題があります。
拙著「デジタル読書のススメ」でも書いた「ホワイトアウト現象」です。あまりにも多すぎる情報というのは、脳の思考を麻痺させてしまうといういう現象が起こります。
東京脳神経センター脳神経外科医の天野惠市先生は、これを「情報過多シンドローム」と呼んでいます。戦略経営者: いまどきの健康常識
これは、より多くの情報を調べれば調べるほど、正解にたどり着けると思い込み、やがて迷宮に迷い込むという悪循環のことを指しています。
あまりにも多くの情報によって自分の記憶力というものが大混乱してしまうということです。
また「『第2の脳 – ナレッジブレイン』が動き出します。」の配信でもお話をしたのですが、この知的ワーク、その知識を扱う知的なお仕事に関与している。こういったものには矛盾があるという話をしました。
一つには、人間が一度に処理できる情報には限界があるという点です。
大量のデーターがどんどんと自分の頭の中に入ってくると、処理能力には限界まで達します。しかし同時に。期限のある仕事をしていて常に高いレベルでアウトプットが要求されます。
このある強迫観念にも駆られたような中で、大量の情報を処理してアウトプットするという仕事をしています。
ですので、遅かれ早かれ、オーバーフロー状態になってしまいます。身動きがとれなくなってしまう状況までも入ってしまう。こういった矛盾に常に私たちはいるわけです。
読んだら忘れてよい読書
では、どうしたらいいのというのが、この音声配信の議論のところ、デジタルであればすべて自働化できるという点です。
読書を自働化する
この自動化の自動なんですが、トヨタのカイゼンのところで言っている「にんべん」のついた「自働化」ですね。人が「働く」という事ですね。
もちろん、アプリやRPAなどのシステムで自動化することもできます。しかし、単にオートメーションで読んだ内容を保存しても、新しい気づきや発見など、そこからは何も生まれてきません。
この自動化と人が関与して、それをよりよい価値を引き出していくという意味で、自働化という文字を使っています。
どのようにやっているかというと、最初の読書でハイライトを使って気になるところをマークしていきます。
多くの人が電子書籍をハイライトしますが、問題はそのハイライトを使うことができないという点です。
これを自働化によって、さらに掘り起こしていきます。
まず、最後まで読み終わったら、それをEvernoteやNotionにエクスポートします。Kindle本であれば、read.amazon.co.jp/notebook というページで簡単にコピペできます。
段階的要約法
段階的要約法という情報を要約する画期的な方法がセカンドブレーンやナレッジブレインにはあります。これを使って、後から時間をおいて段階的に要約していきます。Evernote(第2の脳): クリエイティビティを創り出す方法(新しいブラウザータブで開く)
その時に全てやるのではなく、時間のあるときに、あるいは必要となったときに5つのステップで段階的に要約していく。これができるのが段階的要約法の特徴でもあります。
読書のアウトプットを高速化するデジタル読書術
そして、最後の方のステップでは、そこに気づきや発見をノートに加えていきます。
最終的にはアウトプットが必要となった時には、高速にアウトラインにまとめて執筆などに使うことができます。
もちろんこれは、音声配信、ブログ記事、あるいは論文や企画書など、その時々のプロジェクトで使えます。つまり、今必要となっているプロジェクトで、すぐにアウトプットに活用できるのです。
これは樺沢氏が言うところのスキマ時間でもできますし、今現在必要とされているプロジェクトで必要となったとき、いつでもできます。
例えば、この音声配信をするにあたって準備したアウトラインですが、「読んだら忘れない読書」のハイライトを読書ノートとして、デジタル読書術でEvernoteの中に入れておいたものです。
これを見つけてきて、そこからコピペをしてアウトラインにまとめて作りました。
この樺沢氏の「読んだら忘れない読書」という本で該当する部分は、だいたい5分ぐらいで探せました。
先程の位置ナンバー915というところにあるよというのは記録残っていますので、そこをざっくりと検索をしてみると、今日お話しした全ての内容が出てきました。
850文字程度というのも、その部分を文字カウントしてみればすぐにわかりました。
こういった方法は、これまでの紙の情報の時代のやり方を完全に置き換えるものです。
同じようなことが、例えば昔であれば、新聞や雑誌の切り抜き、スクラップペーパーにハサミで切って張り付けるというようなことをしていました。
新聞・雑誌・ブログ・論文・音声配信・YouTubeの読書術
今では、これはウェブ上の新聞サイトや雑誌サイト、あるいはブログなどの記事から、簡単に瞬時にEvernoteやNotionに読み込んでくることができます。
そこから、先程の多段階的要約法やアウトラインにしていくという作業を簡単にすることができます。
あるいは、これはWebページやPDFの論文でもできます。さらには、音声配信などでも、音声ファイルを文字起こしソフトで簡単に文章化してできます。もう簡単に、数分のうちに文字起こしで文章にできますので、それを文章として要約していくことができるのです。
もちろん、YouTubeやオンラインの動画講座、あるいはウェビナーなどの内容も文字起こしをして、そこの中から重要な箇所を引き出せます。
それをノートに残しておく記録に残しておく、あるいはプロジェクトで使うということが簡単にできるようになります。
Evernote読書術: 超速でデジタル読書ノートを作り力強くアウトプットする
第2の脳: ナレッジブレインが可能にする「読んだら忘れてよい読書」
こういったように、私が今回御紹介をしているデジタル読書術は、「第2の脳 – ナレッジブレイン」の中の情報の管理し、それを知識として整理し、プロセスしてアウトプットまで結びつける一貫した方法です。その一つの例としてこ紹介できたかなという風に思います。
結論として、「読んだら忘れない読書」ではなく、「読んだらその記録を自動的に残しておく」、そして後からいつかいつでもその読んだ記憶を呼び起こし、それを段階的に要約していく。
そうすれば、「忘れるかどうか」は問題ではなくなり、「後から取り出して使える」というステージに入っていくことができます。
それをいつでも、どこからでも取り出して、今必要とされるプロジェクトの中で、文章として使い回しできる。それを使って新しいアウトプットをすることができるということです。
このワークフローのプロセスというものが手元にあるかどうかで、読書の利用価値は大きく変わってくると言えます。
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